砂地での戦いを終えたクロエたちは、この地にあるという地下牢への入り口を探していた。
　地下牢は、そのまま城の内部へと繋がっているという。
「もしかしたら、街の人たちが地下牢にいるかも……」
　クロエにとってのミッションの一つ　『街の人たちを探す』　は、いまだに手がかりはなかったが、地下牢という単語を聞いた時に
街の人たちがそこに収容させられている可能性を考え、藁にもすがる思いで探しに来たのだった。

「こっちは…… はずれかも」
　砂地にあると言われている地下牢の情報は二カ所あり、一方をクロエとそのパーティメンバたち、もう一方をクロエたちのパーティメンバ一人、アリフィス・リストリア、通称リフィが他パーティの人に混じり探していた。
　どうやら、クロエたちが探した場所の近くには地下牢への入り口はなさそうだ。
「もう片方で、見つかるといいな……」
　クロエはそんなことを考えつつ、合流地点に指定した森の入り口へと向かっていった。


「それじゃ、合流するまでは自由時間で！」
　クロエたちは、合流地点に指定した森の入り口へ無事にたどりついた。
　どうやら、別地点へ探索に行ったリフィはまだ到着していないようだ。
　この森には、かつてキラーインコと呼ばれる恐ろしい魔物が生息していたが、すでに一揆勢に駆逐されていたのか、今は姿を現さなくなっているようだ。
　クロエたちは、各自ばらばらに森の中でリフィを待つことにした。

　クロエは大きな木に背を預け、地面に座りつつまわりを見渡していた。
　この森には、数は少なくなったとはいえ、魔物が生息しているらしい。
　クロエが注意深く辺りを探っていると、遠くの茂みからガサガサと音が聞こえてきた。
「あれは、ユニコーン…… のこども？」
　茂みから出てきたのは、頭に角を一本生やした小さな馬。 ユニコーンと言われる動物だった。

　ユニコーンのこどもはこちらを見て、ゆっくりと近づいてくる。
　このユニコーンにとって人間は珍しいのか、クロエに近づいて鼻をすんすん鳴らしている。
　クロエが恐る恐る手を伸ばすと、ユニコーンは嬉しそうにクロエのひざに乗り、気持ちよさそうにその身体を横たえた。 ユニコーンの身体をそっと撫でると、くすぐったそうに身体を動かしクロエに甘えてくる。

　クロエとユニコーンがのんびりとふれ合って遊んでいると、森の入り口のほうからクロエたちを呼ぶ声が聞こえてきた。
　どうやら、リフィが森へ到着したようだ。
　するとどういうわけか、ユニコーンが森の入り口のほうを睨み付け、小さいながらも威圧するような声を上げ始めた。 先ほどまでの大人しさから一変し、獰猛な動物になっているようだ。
　クロエが声をかけようとしたところで、そのユニコーンは森の奥へと去っていってしまった。
「うーん…… ユニコーンさん、どうしちゃったんだろ？」

　森にたどり着いたリフィと合流したクロエたちは、また砂地へと向かおうとしていた。
　リフィの話では、なんと地下牢への入り口が見つかったそうだ。 入り口を謎の忍者が守っていたが、撃退することができたらしい。
　そのまま森を抜けようとしたクロエたちだったが、先ほどユニコーンが去っていった森の奥からなにやら多数の音がするのを聞きつけた。 なにかがこちらに向かってくるようだ。

——あれは、魔物!?

　魔物たちはどうやらこちらを狙っているらしく、やりすごすことはできなそうだ。
「この森では戦わずに抜けられると思ったんだけど、ついてないね！」
　クロエはそんなことをつぶやきつつも楽しそうに拳を構え、こちらに来る魔物たちを迎え撃つ準備を始めていた。

　森の魔物は数が多くないとはいえ、草原や水辺の魔物と比べ危険度がかなり高いらしい。
　クロエたちは、無事に森を抜け地下牢へと向かうことができるのだろうか……

　声色を高くして言うクロエに、ポポロはきょとんとしながら首を傾げ、

なんという事だ・・・と嘆くかのように彼は驚いた。

レイドは心底楽しみにしているようである…

レイドは剣術について聞かれ、思い出すように語りだす…

竜は伸ばされた手に、かつて伸ばされた事があるかのように頭を摺り寄せてくる。
指先を懐かしむように。
——手をひっこめなければ、その体を纏う柔毛が指先を包むことだろう。
少しばかり非生物然とした、まるで川のような涼やかさを留める感触とともに。