Vanetta's Diary - Page.8

正面突破のキツさを嫌という程思い知り、険しい地形に踏み込んで何とか別の道を見つけようとしている８日目。
今日は山岳地帯、星屑の山。
あの城の周辺じゃ有数の危険地帯って話だけど、今の私達なら何とかなる……かもと、力試しを兼ねてやってきたわ。
さすがに地形は過酷の一言だけど、この山には常に星が降り注ぎ光を放っているとか。
昨日通過した小川にも星屑が冠されていたし、何か共通点でもあるのかしらね。


で、問題は、ここがこの幻想さ、美しさと全く関係なく危険地帯認定されてる理由。
昨日の移動中にさえ、恐ろしげな魔物の唸り声だけがちょくちょく聞こえてきたもの。
まあ……ある意味当然よね……そうじゃなきゃ観光じゃない方の目的も果たせないし。

これだけ危険だからこそ、王側勢力の監視も薄いって考えもできるし。
……え、監視が必要ないほど危険な可能性？　うん、それは、ほら……ね、置いといて。

最近は腕に覚えのある一揆参加者も増えたのか、この山岳地帯の探索を始める小隊もぼちぼち出始めたとか。
それならそれで万が一恐ろしい何かがあったとしても、私達が真っ先に鉢合わせって事はなくなるから良い事ね。

……うん。先行者は過酷なのよ……庭園の、あれとか……

今日も昼間の移動じゃ、相変わらず魔物が出てくるでしょうし、どこまでやれるかしら。
場合によっては来て早々だけど撤退も考えなきゃ。
無事に終わればそれに越したことはないけど、上手く行かなかった時のことも常にね。

昨日の日記の、王と亜人関連のも、こんな場所じゃ調べようがないってちょっと思うし……

音立てずに石垣跡から地面に降りる。
隙は無く、しかし殺気も威圧も出さない状態でいる