どうもこの世界は力学系は私がいた世界と同様に働くようだが、反応系は私の知る物理法則よりもかくあれかし、という観測者の意識が強く作用するようだ。
そのことはわずかな木片から金属製の剣ができたり、およそ繊維の取れそうもないものから服ができたりすることからも裏付けられる。

また、食材を二つ組み合わせることで宝石ができたりという例もあるようだ。
ここについては、観測者の意思とも違うまた何か別の法則があるようだ。

これらのことを応用すれば、今まで材料が見つからないとか、精度が出せないとか言っていた実験施設や器具の問題も一気に解決できるのではないだろうか。
おそらくだが、材料は作成時に変化させればよいのだろうし、あとから加工することを考えず、作成時に最初から「そういうもの」として作製すれば精度がよいものができるのではないかと思われる。

仮説を検証するためにも材料となる素材を集めることが重要だ。
これからはより積極的に収集を行う必要がある。

その燃えている氷をゲオルギウスに近づける。
するとその炎からは熱気というよりむしろ冷気を感じさせる。

冷気を持つ炎。
それは通常の炎とは逆のベクトルの力が働いているもの。
氷は故に溶けないのだろうとの彼女の考えである。