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鍵を貰った。
いや拾った？奪ったとか強奪したでもいいか。
とりあえず前の持ち主はいなくなったんだから私のモノ。
貰ったものは使わないとね❤

軽く部屋の下見を済ませて使い方を決める。
そのまま街に繰り出して丁度良さそうな人を見繕い、いつもの様に誘う。


部屋のベッドに寝転がりながらベランダに追いやったお兄さんを尻目にサイドチェストを物色する。
引き出しを開けながら、前の持ち主の手帳をペラペラとめくってみたり。

ひと通り物色を終えたぐらいにお兄さんの声が耳に届く。
流石に見慣れない人には獣の耳も玩具にしか見えないらしい。


「そんなにこれが気になるの？おにーさんっ☆」

『んまぁ、珍しいもんは気になるしな。』

「んっふふー❤」


ベッドから飛び降りながらゆっくりとベランダに近づく。
これからすることを考えながら含み笑いを隠そうともせずに。

大きく息を吐きながら夜景に消えていく煙草の煙。


『ん、こっち来るとと匂いがつくぞ？』


ぴょんっと跳ねながらベランダに出ると制止の声をかけられる。
そういえばそんな事を言って追い出した気もする。
まぁ今はメインディッシュの前。
微笑み返すだけでそっとお兄さんの胸元に抱きつく。

煙草の匂いにうっとりしながら顔をすり寄せる。
そのまま、ベランダの手すりに押し付けたお兄さんの胸元にもたれかかる様に。
ゆっくりと力を込める。
手から煙草を抜き取りながら、手すりからぐるんと逆転するお兄さん。

目の前から消えた相手を手すりから見下ろす。
自然に溢れる笑顔を隠そうともせずに随分間抜けなお兄さんの顔を見下しながら。



ベランダでお兄さんが吸ってた煙草を吹かしながら夜景を楽しむ。
手には前の持ち主が用意してた新品の手帳。


「煙草は匂いがついてやーね☆」


パラパラとめくった後にポケットに突っ込みながら、煙草を踏み消す。
そのまま、鍵を服に引っ掛けながら部屋を後にした。



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自分の言葉を否定されると、ちいさく息を吐いてから、頭を下げました。

すぐ手が届く距離から、一歩後ろに引いて、話を続けます。

フードの下から、触角が覗いています。
隠そうともせずに、それをざわざわと動かしながら、之衣さんをじっと見ています。

膨れるような顔を見せてから、口元を緩めました。
小さくくすりと笑い、そうして話を続けます。

目を細めて微笑むと、小さく頭を下げて、背中を向けて足早にその場を立ち去っていきます。

まるでいじめっこ。

警戒(？)は完全に解けたようで少しほっとしているようだ。

圧迫感を与えるように、一歩だけきちんと距離を測りながら前に出る。

ばさばさ暴れるように抗議する。

うれしそうに、少し興奮気味に店の方角を指しながら歩き出す

うんうん、と頷く。

まあ、違いなんてあまりよくわからないんだけど、と言いながらも問いかける。

むむ、と唸る。

はふ、と溜息をつく。

ふわもこの耳をじっと見て、ちょっとそわそわしていた。

実際熱い。
まさに『焼けちゃいそうな熱さ』です！

何が横切ったかはエシャロット達は知らない。
だがスケベ酒はその謎の言葉を、習得した。

『後悔ばかりしてて楽しんでなさそうね』

と、ゆえは言った。

その通りだった。
少女は、何も反論できない。

ただただ、ゆえの素直であるが故に突き刺さる言葉に、ただ耐える事しかできなかった。

それは———ただの他人だと思う。
もし、違うと言うのなら、どれだけ……どれだけ、良いだろう。

……でも、この少女が言う様に自分は話すべきだったのだろうか。
そうすれば、別の道もあったのだろうか。

いや、それはただの都合の良い希望だ。
でも———

でも、この少女を見ていると、何故だかそういう考えも悪い物じゃないんじゃないかって、そう思うのだった。