「メイ、今日はどう？通信できそう？」

もちろん、毎日欠かさず試みてはいるの。
でも、この数日間ずっと、マスターに繋がらないの。
ヒエンは放っておけばいいと言うのだけれど。
ゲームに集中していて回線繋げ忘れてるだけ、ってね。
それは、もちろん想像できるの。
残っている使い魔たちでは、きっと気が付かないの。
特にネコとかブリキとか、きっと気にも留めないの。
ただ、これはあり得ないのだけれど。
もし、マスターの周りで何か異変が起きていたとしたら……。
ボクたちは、ずっとこのままなの？ねえ、マスター。


『きたー！ダイヤモンドきたー！
　ちょっとちゅんた、聞いてる？
　たった今、ダイヤモンドが——』
「——撤回するですの。ただのバカですの。
　毎日報告するようにと言っておいて、数日間音沙汰無し。
　これは一体、どういうことですの？」

バカみたいなの。
ううん。これはボクとかーこの心配をしていただけなの。

『かーこぉ？ちゅんたがいじめるー。』
「あー、いや、うん、今回はマスターが悪いんじゃないかな？」
『む。今回はダメだったかー。
　でも、強敵と戦っていて手が離せなかったのよね。』
「……ゲームの……。」
『もちろん。ただ、それだけじゃなくてね。
　実は留守中、ブリキノにお使い頼んでたんだけど。
　見事に失敗しちゃってね。そもそも不向きだっだし。』

ブリキノもお使いに出かけていたの？
ごめんなさいしておくの。
……でも、そうすると。

「マスター、ひとつ確認ですの。
　ブリキノの修理は終わっているんですの？」
『それが、まだなのよね。
　特注品のパーツが壊れちゃってて、発注してるとこ。
　……で。かーこちゃんにお願いがあるんだけど。』
「ダメですの。」
「……ミニドラ、ダメ……。」

だって、嫌な予感しかしないもの。
ヒエンもそう感じていたみたい。

『ちゅんた、ヒエン、警戒し過ぎよ。
　予想は近いけどねー。
　で、そっちで丈夫そうな子とは契約できた？』
「あー、いるいる。ゴレムさん。」
『その子なら良さそうかな。
　こっちで預かっても構わない？
　ブリキノが元に戻るまででもいいから。』
「どうだろ？ゴレムさん、いいかなー？
　どんなとこかはうぃすぷさんから聞いてると思うけど。」

全員の視線がゴレムさんに集まる。
ずっと無口だったゴレムさん。
ただ一度、ゆっくりと頷いたの。

「でも、すぐにはダメですの。
　ちゃんと情報を伝える時間はいただくですの。」
『分かったわ。それじゃ、また明日。』

そう言ってすぐ、マスターの幻像は消えたの。
本当に見る余裕無かったから、見に来たの、かな？

「早速、ゴレムさんに教えなきゃですの。
　向こうでの生活が嫌なら、ちゃんと伝えることが大事ですの。」



そうして、夜は更けて。

かーこは近付いて、挨拶をした。

かーことメイは、ヒエンを見る。
しかし、反応はない。寝ているようだ。

かーこは呼びかけてみた。
しかし、反応はない。遊び疲れて寝ているようだ。