今回は同行させていただき、感謝する。

短い間だがよろしく頼むぞ。

えへへっ、頼りにしてるね、ビブリお姉ちゃん！

タロットカードみたいなものなんだ……
それって探そうと思ったらすぐに見つかるのかなあ、見てみたいな。

うん、一人で彷徨わないように、する。強盗は怖いもん。

えっと……そんなに違うの？

当たり前だロ、全然違うに決まってル。

……僕、凄く簡単で、もっと楽しいものかって思ってた。
簡単に言わない方がいい言葉だったんだね。

さ、最初は違ったんだよ！？ちゃんと一日で帰るつもりだったのに
なんか変なところ行っちゃって……

あんなに怒らなくてもいいのにな。この前だって……

本当！？芸術学もあるの？だったら僕少しはわか……

「学」かあ……

素直に分かんないって言えばいいのニ。

他の人の絵を見るのは好きだよ？
好きだけど僕専門の人みたいにここがどうだとか言えないから。

ローラスさんは20年以上研究してるの！？
凄いね、そんなに研究できるなんて！

坊ちゃん爪の垢を煎じてもらえバ？……あるのかナ？

……ちょっと、ね。

簡単に言えば、自衛できるだけの力は必要ってことね。
特に私たちはか弱いオンナノコなんだし！

まあ、そうそう出会うものでもないでしょうし。会ったとしてもそうそう近づきたいものでもないでしょう

穢れてしまうそうですし？

嫌も何も、首狩り約人の子に生まれてしまったからには他に仕事はありませんし。稲を刈り取るのに罪悪感を感じますか？

それじゃあ、こういうのはどうです？犯罪を起こさないように全員の脳を弄っている、とか

別に敵愾心なんてありませんよ。そんなものあったなら、呑気に世間話などしてません。

頭ごなしに否定されたら否定したくなる、高圧的に出られたら高圧的に返したくなる。ただ、それだけです

メルンテーゼの内外、関係なしにね

まあ、子供相手に少し大人げなかったかとは思いますが

そうだよねぇわたしも料理は難しい事考えず、楽しんで作れればいいと思う

愛情込めて作ればなんだって美味しいよ　きっと！　
たとえ塩と砂糖間違えてもね

またそんなご謙遜をー！ローラスさん物知りだし枝ぶりもこんなに立派なのに‥
先生も教樹も呼び方の違いだけであまり変わらない気がするけど

研究者がいて分野も魔鉱物から料理まであって
アカデミエはすごーく広い学校みたいな感じなのかなぁ
そう思うと楽しそう‥いつか行ってみたいな！

そうだったんだ‥初めて会った時からビブリちゃんの目は綺麗だなって
それこそ宝石みたいだなぁと思ってたけど‥
視力が下がるって　大丈夫なの？将来目が見えなくなったりしないか心配‥

って特殊な能力！？

なにそれっカッコイイー！！
どんな事ができるの！？

な、何を突然…誰が高所恐怖症なのだッ！

　…

た、例えば神話物語の世界で英雄が空を飛ぶ乗り物を預かり、
それに乗るじゃないか…そこで、高い所が怖かったりして乗れないと、
ストーリー自体が進まなくなって世界に永久に平和は訪れなくなる…

　…

い、一流の戦士ならそんな馬鹿げた真似などしないさ！
高い所にのぼると急に両足の血流が滞ったような感じになり、
その高さから落下したことを想像するなんてありえないのだ！
夢で延々と続く階段を上る途中、それが急に平坦な滑り台になり…
真っ逆さまに落ち続けるなんておかしな体験は…

噂によると先見の塔は恐ろしい所で…

あらあら、可笑しなことを言うのね。
借金なんて踏み倒して逃げれば良いじゃない。メルンテーゼからね。
・・・まあ、あの子を一発殴らないと気がすまないって人も多そうだけれど。

なんて、仮定の話に本気になられても困るけれど。
人を斬る側の倫理なんてそれぞれよ。単純に、より何でも有りの環境で強い奴と戦いたい・・・って相手も居たしね。

まあ結局、欲求と言う根を持つ自分の意志に従って、そこに個々人の倫理観を上乗せした上で、私たちは動いているのよ。
貴女のその生真面目さも、そうあらねばと言う一種の役割演技ではないかしら。

とりあえず、この手の話は決着が付かない事も多いわ。
世界を書き換えるほどの強制力でもない限りは、ね。
精々気をつけるか、先手を打って狩るかしましょうか。

ただまあ、人を襲う・・・って意味では、私たちも余り人の事は言えないのよね。
王の側から見れば我々は反逆者そのものだし、さっき話しに挙がった樹人だって、偶然こちらが縄張りを侵したから排除しに来ただけかも知れない。

立場が違えば、考えも見方も違う。
・・・例えばそちらの先生は、その辺りを察しておられるからこそ、余り口を挟まないのだと思っていたのだけれど。

ま、良いわ。今度機会が有ればゆっくり話しましょ。お酒・・・だと貴女大変なことになりそうだから、お茶でもしながらね。

——それはそうと、そろそろ市のほうは大丈夫なのかしら。
確かあの一角に、貴女の名前で借りていた区画を見かけた気がしたのだけど・・・。

・・・何となく思ったのだけど、貴女。
売り物を店に並べたは良いけど、いざ売ろうとするとあれこれ思い出して用意した品物が売れないとか。真逆、そんなことは無い・・・わよね？
ほら、よくある蚤の市の素人出店者みたいに。

うん♪喜んでくれて嬉しいよ！

え…　ほ、本命チョコ…ですか…？

ぼ、ぼくと恋人に…！？

ぼ、僕は…

僕は…

…

僕って…僕って子どもだ…

ビブちゃん、勇気を出してすべて話してくれたんだ。
しっかり…しっかり気持ちに応えたい…！

あ、あのっビブちゃん。うー、すごくびっくりしたけど

…ありがとう。僕を好きになってくれて。
僕を好きって言ってくれて…。

なのに僕ってばゴメンね？
やたらに「好き」とか言って、ビブちゃんの純粋な気持ちを悩ませちゃって…

もも、もちろん冗談で「好き」って言ってたんじゃないよ！
好きって気持ちは本当なんだ！

ただ、男女の意味の「好き」かというと…
あの時は…友達の好きとか…
うーん、敬愛…？の気持ちで使ってたんだ

でも…でもね！今ビブちゃんに恋って言われて…
ハッとしたんだ。

…恋人になった僕とビブちゃんの姿が急に頭に浮かんでさ…
手ぇつないで散歩したり、一緒に歌うたったり、
おいしいもの食べたり…

それで…それでね…、僕は…そうなったらいいなって思ったの

この気持ちは僕の「恋」なのかな…って

ビブちゃんはいっぱい悩んで気持ちを打ち明けてくれたのに、
僕の答えがこんなにあいまいで
…とても情けないです…

率直な僕の気持ちを告白するとね、

僕はビブちゃんと恋人になりたいよ！

そうなれたら、ビブちゃんを寂しさとか怖いものから守ってあげたい。
できればずっと。

ううん、もし恋人になれなくても守りたい。
ずっと笑ってて欲しいって思うよ！

…ただ…ここで一つ僕に問題が…

ぼっ僕はビブちゃんより身長ちっこいけど……いいの!?

くそっ…！　またこの顔…
だから、女ってやつは面倒なんだ！
どうせ、泣き顔を見せれば相手が引くだろうとでも思っているんだろ！　ちくしょう…

……。

何故、ボクの暴言をそんなにあっさり受け止めるのです。
理不尽な仕打ちだと、不当な疑いだと思うのなら、正面から怒ればいいじゃないですか。
あなたにはその権利がある。

ボクを哀れとでも思っているのですか？
だとしたら、まったくのお門違いだ！
これはボクのミスだ！
父という人間を！　気性を！　正しく把握してなかったボクの愚かさが招いた結果だ！

……話を戻しましょう。
正直に言ってしまえば、私には新王が正しいか間違っているかなんてどうでもいいのです。
ただ、ネクター枯渇による生活の困窮、それさえ回避できるのならば。

ですが、やはり外部から来た人間からすれば、正義大義は重要なのですね。
今のビブリオバベルの言葉ではっきりわかりました。
所詮は戦争も政治活動…　支持を失えば瓦解する…　それは当然のこと…

ともあれ、渦中にある者が事象を客観視できないなんてことはないはずです。
確かに『神の視点』で分析する事は不可能かもしれません。
ですが古来より、多くの学者や記者が自ら戦火に飛び込んで記録をしたためたからこそ、その記録が歴史として現在に残されている。
そうした記録者が、自ら集めた情報に対し、何も分析を加えなかったなど、私には到底思えません。

……ごほん。

年頃の少女なんだから気をつけるに越したことはないさ
いつ何時変な男に絡まれるやもしれんからな……
信用に足る人物なら、ビブリの素直さを出しても大丈夫だろうけれどもな

ふむ、いくつか確立された世界間移動の理論と俺の求めた移動魔法が、
どこかで合致してしまったということもある……のか？
とはいえ、その"必要な手間"をすっ飛ばして
単独の世界間移動を行ったというのも疑問が残るな……
いや、しかしこれは研究のしがいがありそうだ

ローラス殿のお陰でまた新たな課題が見つかったようだ、ありがとう

そうだな……メルンテーゼはまだ世界間移動も活発なようだし、余所者を受け入れる地盤もあったようだ
まかり間違って、相容れぬ者を排斥するような世界に飛んでいたらと思うと……ううん、恐ろしい

それを考えると、この世界に飛ばされたのも、君たちふたりに出会えて意見を聞けるのも、幸運としか言いようがないな……

ポータル……まあ、便利は便利なんだが。
主要の都市にある大聖堂同士を結ぶものしかなくてな……
帰還魔法も、触媒に登録された大聖堂にしか飛べないものだった。
大都市を移動するような冒険者は重宝していたようだが、人が持てないような大きな荷物は運べないし、地方の小さな街には行けないからな。

しかも教会の連中はポータル魔法の知識を秘匿しておきたいらしく、ポータルを増やそうともしないし、仕組みを教えるようなこともしないときたものだ……

多少の手間は掛かっても、直接行きたい場所に行ける魔法があれば、多くの人々が助かるかと思ったんだが……まだ道のりは遠いようだ

まあ、今回の失敗はいい教訓になったよ。友人も増えたしな
人生もまだまだ長いし、のんびりやるさ……無事帰れたらの話だが。

……そうか、実験体か。忘れていた

……！？
そんな危なげな実験、ピンクは協力なんてしないポよ〜！？

まあ、そう言うな。報酬は倍だ

……も、物に釣られるピンクではないポ

母か。言うほど立派……かどうかは解らんが。
ある地方では天候を操ったとか言われていたと自慢していたが、
俺を身籠もってからは引退したといっていたな。
ほやほやっとした回復魔法を使う姿しか見たことがない……

年齢？あたしはね〜ぴちぴち（死語）の17歳だよ！えっへっへ

ビブリちゃんは何歳？おんなじくらいかなって思ってたんだけど
あっ　でも見た目を裏切る年齢の人も結構いるよね…この辺って

…？なにか言った？

ふーん、やっぱ他の世界とは違うもんなんだ〜
鉱物はわかんないけど森とか山の木や草もあたしがいたところは全然違うって感じ
外で見ないような魔物？もたくさんいるしね！

へへ、だからかな。変わった食べ物も多いよね
美味しいのはいいけどこれ食べられるの？っていうのもあって危険だけど面白いね〜！

うーん、そうだねえ…いつでも食べ物が簡単に手に入るってわけじゃないし食べられるかわかんない物しかないときもあるよね。
胃腸が丈夫だとけっこう何でもいけるんだけどね！

胃腸薬は常備してたほうがいいかもしれないね！！

えへへ…先輩って呼ばれると照れるなあ…！

……

なあ坊ちゃん、やっぱり従者の所ニ……

グノウが居なくたって……出来るもん！

中衛から援護します！

さぁ、いくぞ。

今日は腕が軽いな

私に歯向かおうなんて、一千万年早くない？

ほらね、ちゃんとグノウが居なくても出来るよ！

……

皆さん、お怪我ありませんか？

当然の結果だな。

そうか。勝てたか

さてッ、どんどん先に進みましょうー！

やれやれ。

さぁ、先を急ぐぞ。