……僕だって、「奪うことは悪いこと」だって、わかってますよ。
そう、奪い返したのならまた奪い返されるかもしれない。
だからって、僕はここで、奪われたまま……、
ネクターさえあれば、アルームを取り返せるということがわかっているのに、
全てを赦して諦めて、まったく別の生き方を選ぶなんて……できない、ですよ。
わかった上で、選んだんです。だからもう、後戻りできない。
僕の羊と人狩りとが違うのは、もう……感謝とか、愛情とかが添えられてるかどうかの違いくらいしかないでしょう。
だって一生を管理されて、果てに命を奪われるなんて。それは羊にしてみれば、この上なく悪いことでしょう……。

抗いようのない強い力、っていうのは……、
自分で言っておいてなんですけど、なんでしょうね。
でもきっと、運命とか、神の思し召しとか、そういうものなんでしょう。
例えば嵐にろうそくが晒された時、そのともしびはほとんどどうやっても消えてしまうとか、
なんだかもうどうしようもないような、決まりきったことでしょう。

……最近、皆僕を子どもだ子どもだって言いますよ。
でも僕だって僕なりに、自分を納得させる必要がある……、

そうですよ。
本当は……、奪わなくて良いのなら、そうする必要なんかなかったんだ。

……もしもグリゴリさんと出会うより前に、
あなたと出会っていたならば……、
何か、もしかしたら、変わっていたのかも……知れませんね。
それでも僕は、もうあすこを去る気はないんです。
少なくとも、他にアルームを取り戻す方法が見つかるまでは。

……運が悪かった、っていうことは……、
少なくとも、魔女になったことを心から喜んでるわけじゃあないってこと……、ですよね。

あなたも……、それしか選択肢がなかったのかな。
抗いようのない強い力に、巻き込まれて……

…そ、それがね…一人で居る時は時間が惜しくて大抵買って食べているし
誰かと居る時はその人の方が料理上手だったりでね…

以前ね、一度だけ結婚をした事があるの。
すごく平和な世界でごく平凡な家庭に生まれて…
このまま普通に暮らしてもいいかなってそう思った時にね。

…料理人だったのよ…城下町の定食屋みたいなのだったけど、凄く腕のいい…
見事にこう、胃袋を掴まれちゃってね…普通は逆だと思うのだけれど…

あっ、獣を狩るのなら任せて！
そっちなら大得意だもの！

そうね、この知識はいとも容易く武器や兵器に変えることが出来るわ。
でもそれと同じだけ、人を生かしたり傷つけずに退ける為のモノにする事もできるのよ？

ようは使い方次第、という事。
魔法や、そこらにある刃物と同じ。

…そうなのよね、それが判らないことには何ともしようが無いわ。

でもまあ、考え方を変えれば…それが判るまでは次があるってことでしょうし。
…いい事か悪い事かは兎も角として、ね。
老いる事も死ぬ事も怖いし痛いし嫌い。でも私はそれの和らげ方や取り去り方も…知っているから。

もちろん正しいやり方で無いかもしれないけれどね。

少なくとも、私は今ここにいるのはユディタって思っているわ。
記憶が多くなったって、まるきり性格が変わったりはしないでしょう？

ええ、ユディタ。勿論よ！

すいません。お時間はありますかね。

黒い森の──猫鍋の魔女殿で間違いは？

聞いてた特長なんかとは一致してる気がするんですが、
直接お会いするのは初めてなので確認をと思いまして。

どうも。　はじめまして。　俺はグレイマン・スモーキーといいます。

眼鏡ハーフエルフの首切り役人を通じて、
貴女の薬に、間接的に世話になってる人間で、

──ついでに言うと、次期ラージン領主様のとこに世話になってる身です。

…　まあ、自己紹介としちゃそんなところなんですが、
ちょいとお聞きしたいことなぞができましてね。

今回は、薬や──毒についての知識をお借りしたいと思いまして、
こうして上がらせていただいたわけなんですよ。

……　仲間が、どうも毒にやられましてね。

簡単な奴なら身内でなんとかなったかもしれないんですが…──
イペ族の胃で、半端に変質した毒だとかで、
ちょいと解毒が厄介になってるようなんですよ。

その人が起き上がってくださらないと、俺にも困る事がありましてね。
それで、まあ。こうして、貴女のお知恵を拝借したく伺ったってわけです。

…　お力をお貸しいただけるとありがたいんですがね？

へぇ、彼が王子様……。
……、まぁ、前のあれはあれよな、正当防衛っていう。
付き合いが悪いって、何かあったんだっけ？因縁つけられてたよな。

エンブリオとの付き合い方は結構いろいろなのな。
どこかでは食べたとか同化したとか、物騒な話を聞いたこともある。
今後契約するエンブリオに暴れん坊がいるなら、俺も少し考えないと。

腕がもげ……物騒だな。
流石にそういう展開だけは勘弁してもらいたい。
……と、そうか。そこを免れる保険があるのはありがたい。

膝丈にすらその反応か。本格的に肌を出すことに抵抗があるんだな。
水着とかきわどいのとか、見ている側としては目の保養だぞ。
護身的にはどうかと思うが。

シンプルな服ならこちらの市街で買う分で間に合うとは思うが。
ロングスカートのゴスロリは流石に世間から浮くし、ないない。
……いつも黒い服着てるから、それ以外のイメージが出てこない。

服を作るのが好き、というとちょっと違うな。
女性の服を作る係を担う以上、変なものを着せたくないだけだ。
立体裁縫やデザインを学ぶなら、生産Lvの向上を重ねるだけでなく
その道のプロの作品を見ないと足りない。

しかし高いと。PSに特別余裕があるというわけでないし……
って待て。髪切りたくなる時があるのか。綺麗なのにもったいない。
こればっかりは本人の意思が最優先だから、とやかくは言えないが。

僕の冗談が下手なのか、それとも貴女に冗談が通じないのか。どっちなんでしょうね？

才能の方はどうか知りませんが、生まれた時からそういった型に嵌められてきましたからね

まあ、ゴキブリなんてどこにでもいますからね。似たような者も

来世に期待といったところでしょうか。ああ、貴女は死ねないんでしたっけ。残念ですね

へえ、そんなふうに暮らしていた貴女など想像もできませんね。

で？どうしました？相手が死にましたか？

何をしたか……裏切り、でしょうか。

自分をねぇ。やめましょうこの話は。つまらない話になりました

そうでしょう？こんな僕など好む人間なんていないんですよ。だから、希望を抱くのは止めにしました

ん？ああ、違います。あの男は僕が幸せになることを許さないということです。

僕はあの男がどうなろうと知ったことではありません。自由になれるのなら後はどうでもいいですね

あーそれ。わかるわかる。緊張感大事だねー。
あたしは根がぐーたらだから、ちょっとぐらい無理させられないとダメダメになっちゃうわ。

いやいや。細かい作業が好きなのは立派な花嫁スキルさ。
花嫁になる気があるのかまでは知らないけどね。そこんとこどーなん？

あー、やっぱり長生きじゃなかったかー。そうだと思ったわー。

ま、言わないさ。
……死ねない人間はね、長ーい人生で、いつのまにか命の大切さを忘れちゃうんだよ。
キミは、あたしとは別の世界にいる。まともな子だ。
ばれたくない相手には気取られないように気をつけるといいよ。

『タイプじゃない』！
あっはっは、そりゃ痛快なオチだ！
まー、人生が有限ならなおさら大事に生きるといいよ。何だって手伝うさ。
あたしにとっちゃ、キミたちの時間は一瞬だ。少しぐらい面倒を見てあげなきゃ、あっというまに干からびていなくなっちゃう。
強引にでも伝えたいことだってあるんじゃない？
何なら縛って連れてきてあげよっか？

今日は機嫌悪いからさっさと終わらせたいんだけど…

"アヴリラル　メルンテーゼ……

　ドーラ　プロドプロイ
　ケットシール　トルチュ
　ヒクシール　ヒェロナ
　ザントマー　グーイ"
　ザントマー　グーイ"
　ミ・ドラコ　ソルエファー"

……さぁ、始めようか

耐えるのはいいけど、別に倒されてしまっても構わんのだろう？

いやダメだろ

…あまくないよ？

もうちょっと狭いところでやりたいもんね

これ以上ここにいても何もない。
次へ。

れっつらご〜♪

あからさまに置いてある……

きゃっほ〜♡
お宝？お宝？？

ウチラが働いてる時にあんたなにしてんの？ねえ？
何してんの？

あっりがとーッ！！つまらないものですけど、これ受け取って！！