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私達の目の前で、人形の持っていた旅行鞄が開けられ、
その中には入っていた謎の道具。
金色の平たい箱に、金色の棒がとびだしている。
添えられたメモにはなぜか、ネクターを要すとの文字。
人形の旅行鞄からでてきたということはこれは例の【職人】が送ってきたということだろうか。

見た目はどう見ても無機物、ネクターを要する以上エンブリオだというのだろうか……？
そう考えている間に、とりあえずネクターを使えばいいのか？と金の鎧がネクターをかざす。

すると —————

何を言っているんだ。

突然動いたと思ったら金の箱から声がする。
端末だと言うが、こんなことが可能なのだろうか。
人形が何やら反応しているし、ユリアの話をするということは、この声の主は……

自己紹介とはなんだったのか。
声がしなくなって、再びただの金の箱に戻ってしまったそれを私たちは見つめる。
壊れてしまったのだろうか。

しばらくすると再び人形の旅行鞄がガタリと音が鳴る。
金の端末は相変わらず動かぬまま、人形は旅行鞄を開けその中にある一枚の手紙を手に取った。

人形が手紙の内容を読みあげる。

『自己紹介伝わらなかったと思うのでこちらで。
俺がユリアの支援のためにドールを送り込んでる【職人】だ。
ユリアが世話になってる礼として金ぴかさんに作った装備は役にたっているだろうか。
この度はまた新たに槍を作っているんで受け取ってほしい、だからその前に挨拶しようと思ったんだ。
端末はいまいちだったが、ネクターへの干渉自体は一応成功したからもしかしたらもっと別の効果も得られるかもしれない。気長に試していくと面白いことになるかもな。ではまたのちほど。　【職人】』

手紙で十分ではないか。
貴重なネクターを消費させてわざわざ謎の端末をよこす意味とはいったい……
これでネクターが無駄になったとかなら異世界訴訟ものである。
だがこれで謎の多かった【職人】と直接コンタクトをとることになった。
未だに謎が多いが金の鎧はそんなことは大して気にしていないのだろう。

金の鎧はこの金の端末を気に入ったらしい。
この箱にネクターを供えることで何が起こるかはわからないが、ネクターの無駄にならないことだけを祈る……

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To be continued...

　
屈みこみ、身体を震わせたアニマに手を伸ばし——躊躇った。

　

　

　

　

　
『大丈夫そう』
丁寧な物腰に、やや落ち着きを取り戻したようだ。

　

　

思い当たることが、無いわけではなかった。
元の世界で肉親以外に唯一、自らを受け入れてくれた者。
そして、この世界で出会った仲間たち。それらは、確かに——

それでも、本当に大切なものは。