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いい傾向だ、とも、悪い傾向だ、とも言える。
彼女は次第に僕の管理から離れていっているし、解放されていなかった機能も次々と解放されている。
この分では、彼女の無意識下の“呪縛"が解けるのも近いかもしれない。
……それが、彼女に取って良かれか、悪かれかは置いておく。

エンブリオは、僕がこの世界に存在するに於いて実に優秀な媒体だ。
現在体にしているドールは、彼女同様僕の魂に実に馴染むし——
先日戦ったユニコーンの魂は、僕の魂を現世に留めるのに一役買っている。

（ここからこの世界についての考察（要するにどうでもいいこと））
一揆参加者が各所で出会う敵の言動に、幾つか興味深いものがある。
例えば、先日『食べた』ユニコーン。

「この世界は干渉を必要としません。即刻立ち去りなさい」

我々を世界移動者と見抜いたばかりか、『干渉を必要としない』と言い切って襲ってきた。
『消化』してしまった為その魂から情報は抜き出せなかったが、何らかの事情はあると思っていいだろう。

そして、更に前の日に出会ったゴブリン。

「オウサマハ、ワレラノキボウ・・・」

希望、とまで来た。
魔王パラダイスとやらは、あのモンスターにどのような演説をぶったのだろうか。
それはともかく、これらの事実から推測できる事がある。

『魔王パラダイスは、モンスターと何らかの形で手を結んでいる』

何らかの形、というのがわからないが、（あるいは、そこに独占したネクターが関わっているのかもしれない）
ここを突き詰めれば、面白い事実が判明するかもしれない。
ちょっとは考えておいてもいいだろう。

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手短に目的地を決めると、行こうか、と移動を促す。
あまり彼女に、立ったまま話をさせ続けるのも悪い。

私やヘイアンは、エンブリオを『力』として見ている。
事実、エンブリオが不和を起こすことなど非常にまれだ。
だからこそ、彼女とウィスプのありようが新鮮だった。

なんか必死である。

全面的に同意する意向のようだ。

貴方の様子を見て慌てて取り繕う。

そう言って互いに仲間の元へ去っていったが、グレンダは少し振り返って貴方の背中を見ていた。

踵を返すレーネを見て、こちらも背を向けて立ち去ろうと。
しかしその所作は、再度のレーネの問い掛けにより、中断された。

それぞれの方角を、指し示して見せた。