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一同、山岳を上る

先を行く小隊は王城へ近づいているものの現状は正面突破がほとんど。
となれば、自然と他の場所からのルートも探される。

特に森林や山岳ともなれば王族が逃げるための隠し通路がある可能性も、よくある。

実際にはこれからを踏まえ強力なエンブリオや素材を探しての迂回の意味が強い。
加えて最近小隊に紛れている人斬りから離れるためというのも一つ。

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山岳を進むと道すがらにウサギが一匹
正確にはウサギの獣人で大きな袋…トートバッグ？を抱えている

一先ず近寄って話を聞いてみる


ウサギがいうには一揆が始まってから便乗した盗人たちが町を荒らしているのだという
もちろん一揆が始まればそういうこともあるだろう
しかし、ウサギ一匹で山の中に入るというの如何なものか

「ここには鍾乳洞の氷穴がある」

なるほど、それなら氷も取れるし保管しておくには良いだろう。
だがやはり氷は財産とはいえ一人で来るのは如何なものか

「大丈夫」

するとどうだろう、見たこともない氷で出来たようなエンブリオが顔を出す。
噂に聞く氷の妖精のような存在なのだろう。

こういった珍しいエンブリオと氷売りをしているということは、
やはりエンブリオによって恩恵を得ているモノたちも少なくないのだろうと思う。

どこにいるエンブリオなのかと興味本位でたずねると、

「教えられない」

居るとしたら鍾乳洞の氷穴だろう。
教えてしまえば商売上がったりになるであろうから、仕方ない。


一人では危なかろうと鍾乳洞まで送りたいが、今の自分は一揆に参加している身である。
そうそう寄り道している時間も、仲間が居るのに、取れない。

十分気をつけるよう言い含め別れる一揆の行軍に戻るとなにやら新しい賞金首のビラが用意されている。
先日から物騒になったものだ。

一名が農場送りとなったようだが他は健在で順調に賞金が増えている。
これはまいった、困ったことになったといくつかの賞金首を見ていると。
さきほどのウサギが賞金首となっていた。


どうやら氷売りではなく氷泥棒だったようだ。
これはいけないと思い、後を追おうにも鍾乳洞の話も本当かどうか。
氷のエンブリオを連れている以上は溶かすこともなくどこかで金に変えるのだろう。

エンブリオで恩恵を受けているモノはたしかにいるようだ。
世の中とは上手くできているのか無情なのか。

さて、もう一度会うことがあればどうにかしてみよう。
一揆に参加しているのであればきっとどこかで姿を現すだろう。

とはいえ、返り討ちにされないとも限らない。
今日からは用心して休むことにしよう。

明日は三人になるのだからむしろそちらを気をつけねば。



後半へ続く

ただいま一匹と一匹は喧嘩しているようです
しばらくおまちください