一揆に参加して９日目になる。

６日目、７日目といいところなく野良の獣に負けた。
普通の狩人ならば正面から獣と相対することはしない。必ず死角を探し、隙を見つけ急所に攻撃を叩き込む。
しかし私にはそれができない。
敵の視線から逃れる速さもなければ、一撃で命を刈り取る技術もない。
結局は逃げていたのだろう。
色々ともっともらしい理由をつけて。
”そのやりかたは私には合わない””私はやればできる”
自分の弱さを認めたくなくて。

ところがどうだ。
うっとおしい村をおさらばして一揆に参加してみれば敵は皆正面から相対してくれる。
それは私の戦い方ではないのか。そうだ。
結果はどうだ。
負けが込み、中途半端な戦いが目につく。
庭番のじいさんには一撃で干された。飛竜との契約もできなかった。
仲間に迷惑をかけていないかと言えば強く否定できない自分がいる。
それがなにより口惜しい。

それだけに８日目の勝利は大きなものだった。
久々の勝利に安堵する仲間たち。
不思議とまたやれる気がしてくる。
月並みだが、一人ではこんな気持ちにはなれなかったろう。
他人同士ではあるが共に死地を駆け抜けることがこれほどまでに楽しいとは。

村を出てほんの一歩だけ前に進めた気がする。
今日も頑張るぞ！

肩を叩かれて、ビビクッとしながらも思いのほか近くに顔が・・・いや、口がある事に気付いて・・・