俺様は猫である。
名は無い。
以前の住処の下僕は、俺様をクロと呼ぶヤツや、ネコチャン言うヤツや、マタキタノカと長ったらしい呼び名を着けてきたヤツも居た。

猫又がばれて移動する際、逃げるのに夢中であいつらは置いてきてしまったが、達者で暮らしてるだろーか。

のっそり近づいてみたり。

猫又を好敵手と認めた瞬間である

己が羽根の上辺を、手首を捻って軽くつまみ、小さく持ち上げる。
顎を少し下げ、まぶたを僅かの間閉じた。
そして向き直る。

葱の頼みを聞いて、蛙は小さく苦笑した。

そう言うと蛙は長い舌を葱の根本に巻き付けた。
そのまま持っていくつもりなのだろう。

少しだけびくびくしながら、黒猫に向かって囁いてみた。

やはり、そわそわしている。

齧られたら痛いどころじゃない。

猫を乗せて御機嫌な羊は、風に乗ってもふもふと上昇を続けている。
飛ぶ理由は、恐らく分析通りに風をはらみやすい羊毛が、雲もびっくりなくらいふわふわしてるからだろう。ただ、ちょっと風に流されやすいところが問題だろうか。ついでに、現在は飛んでる本人が楽しくて我を忘れてる所も問題だろう。
つむじ風に突っ込んだり上下に楽しく動いたりと、とても楽しそうである。……背中の猫の迷惑を考えなければ。

もう間に合わないだろう位置から飛び降りた猫を見て、焦りの表情を浮かべる。
その瞬間に、普通に受け止めては勢いを殺すのには間に合わないと判断したのだろう。
羊の位置を目の端で確認すると、近くに浮いていた雲羊の数匹の背中を階段のように駆けあがり、無理やり踏み台にして、猫に向かって全力でとびついた！空中で猫を無事キャッチできるだろうか。
華麗にキャッチできれば、下に広がる羊の横に猫を抱きとめて着地するだろうし、失敗して顔面キャッチしたとしても、下にいる羊の地面の上にもふっと落ちるだけで済むだろう。

（奇数で失敗、偶数で成功　 1D2 = 1 ( 1 ) ）

前回、可能な限りの速度で後ずさり、
なんとか黒い影が見えない距離まで逃げ延びたのであった。

刹那、物陰から飛び掛かる黒い影。

鋭い爪が迫るが、引っ掻かれる寸前で止まる。

黒猫は「ニャーン？」と鳴いているが、少女は完全にかたまっている。

猫は咥えていた鴨を解放する！

鴨は葱を振り回しながら 猫から逃げ 敵陣へ突っ込んで行く！！

−蛆丸は、ただいま隠密行動中−

猫は、戦い疲れてへばった鴨を捕獲した。ガブリ。

鴨は首根っこを猫に咥えられ、お持ち帰りされる…

俺様に続け、下僕共。

後脚で首の辺りをかしかしかし。
追い立てられたノミブリオが数匹びょびょっと跳ね出た！

主に獣に付くノミブリオだが、ネクターの香りに魅かれ周囲の人間に向かって跳ね始めた。
これ以上数を増やさぬ為にも早急の駆除が必要だ！
それでなくても、猫、なんか臭ってきてるし。野良特有の獣臭が強まってるし。