（サマバケで燃え尽きた。ネタが無いからシリアス）

森を抜け平原の広庭を進む毛玉兎一行。
道中、城を護る兵士に遭遇したが特に被害も無く圧勝した。
極色に色取る花達を眺めつつ、毛玉兎達は上々の気分のまま先へと進む……。



　　　　　　　　　　　　　　　　　*　*　*　*　*　*　*　*

リューンの一声に毛玉兎達は指を指す方へと視線を向ける。
視線の先には、豚面をした人型の魔物…オークと兎の魔物が、物陰に隠れてこちらの様子を伺っていた。
どうやらあちらはこちらへ奇襲を仕掛ける様子だったのだろう。リューンが気付かなければ危なかったかもしれない。
二匹の魔物は自分達に感付いた事に気付くと、物影から飛び出してこちらへと押し寄せてきた。

戦闘準備に入ろうとするスィーが、毛玉兎の様子の急な変化に気が付く。

毛玉兎の視線は兎の魔物の一方へ向いたまま、酷く顔が青褪めていた。
その口からは掠れる声で何かの言葉を譫言の様に何度も呟いている。

……世界大戦……博士……計画……兎人……禁忌……兵器化……

何かを呟く毛玉兎の目は焦点が合っておらず、
その脳裏には、自ら忘れようとした筈の忌わしき記憶の一部がフラッシュバックの様に蘇っていた。

──そこは自分の『家』であった筈の、無残に蹂躙され消え去った故郷の村の光景──
──銀の劫火によって一切合切を灰に焼き尽くされる全ての始りだった都市の光景──
──其処彼処から響き渡る断末魔の叫びと、人と魔が焼き焦げた血肉の匂いと光景──
──その光景の中で、数人の『人とも魔とも在らざる者達』の中で哂う。もう一人の────

スィーの呼び声で、毛玉兎はハッと我に返る。
心配そうにスィーが気が付いた毛玉兎を見ている。いつの間にか毛玉兎は地面に突っ伏していた。
一体何が起きたのか。地に着いた身体をゆっくり起き上がらせると、その目先では既に魔物との戦闘は開始されているのに気が付いた。

魔物達の攻撃をリューンとインコ師匠が防戦一方だが何とか食い止めている。
しかしあの様子だとそろそろ防ぐのも限界が来ていた。
このままではいけない。と、毛玉兎は痛む頭を抑えつつ急いで戦闘に参加しようとする。

毛玉兎の様子に心配そうにスィーが声を掛ける。
かなり頭が痛むし、身体もふらついて安定しない。しかしそんな事を言っていられる状況じゃない。
何とか大丈夫と答える毛玉兎。だが毛玉兎の顔は未だ青褪めたままだ。

本当ならすぐにでも撤退をするべきと思っているスィーだが、
主力である毛玉兎が不調の今の状況下で撤退するには厳しいと判断した。
殿を任せるにも方向音痴と移動力皆無のあの二人には任せられない。自分もそこまで出来る訳じゃない。
故に、スィーは自分を悔やみながら毛玉兎に任せるしかなかった。

毛玉兎とスィーが防戦中の二人の下へ駆け寄ると、二人から歓喜と安堵の声が流れた。

心配をかけてごめん。と、毛玉兎は二人に一言伝えると
まだ若干ふらつく身体と痛む頭を抑えつつ、二匹の魔物を対峙に戦闘を開始した。

予期せぬ頭部への衝撃で、口の中のモノ、

時々寝返りは打つけど、今のぐるんぐるんに酔っぱらってる猫に危険は無さそうです。