ブランチマンを退けた。既に多くの一揆軍がここを通り過ぎたらしく、随分と出遅れてしまった。
いや、元々スタート地点が一緒だったというだけでこれほどの差があったのだろう。
俺が足を引っ張らなければ、もっと先へ進めていたかもしれない。

つべこべ考えるのはやめだ。過ぎた事を気にしていてもしょうがない。
今は歩を進めよう。確実に前へ。

(魔女への恐れの理由が気になるのか、「ふ〜ん…それって〜」と—)

(深く考えて無さそうな、いい加減な言葉で締めくくる—)

得意げにしてみせるも、ヘクターの顔が僅かに険しくなると、きょとんとした表情になる

罰が悪そうに早口でそう言ってみせる

デイジーは主に気付かれないよう、ヘクターに近寄り

ふと目を伏せた刹那に光がはじけ、小さな妖精の影は人の形をとる

おおきく見開かれた目に、視線を合わせる姿がうつる。

ごしごし、と目をこすってから、また熱心に視線を注ぐ。

くたっと視線を落として、暫く其の儘地面を引っ掻く。
何の意味もない蚯蚓をいくらか大地に刻み込むと視線を持ち上げる。

青年の言葉に少女は訝しむような表情を向ける

少し落ち着いたのか少女の猛っていた言葉尻は消え、更に言葉を続ける

気をつけるよ、その言葉に小さく鼻で笑った。

スィナンは呟いて、少し思案顔で顎に手を当てる
ヘクターをじっと眺めながら、次に出すべき言葉をしばし悩んだ

イシュメールはそう話しながら、だんだん顔を曇らせてゆき、最後には黙り込んでしまった。
それから短くはない時間が経過した後、ようやく絞り出すように言葉を続ける。

それからまたさらに時間は流れ、ようやく心を落ち着けると、わざと語調を強くして会話を再開した。

パーティに来たミクネとクライを見るなり笑顔で迎える。

二人の格好に何か違和感を感じる。

ミクネに引っ張ってこられた青年は鍋パーティという内容に不満気……というか不安げな表情である。

まあ当然とも言えば当然だろう。
つい最近、（仲間の作った手製鍋とはいえ）鍋料理には酷い目にあったばかりである。
あの時ぶっ刺された（銃弾が見事に入った）場所は今は癒えているとはいえ、
なんだか気のせいか地味に痛い気がしてならない。


青年は苦い顔でミクネを見た。
彼女の熱い（食欲という）想いに負けてこうして付いてきた訳だが。

今は鍋料理とかよりも重要な事があるのだ。

ポツリと呟きつつ、ドレス姿の青年は顔を覆った。

その身に纏うのは、ドレープが多めの白も鮮やかなドレスである。
所々にある青のリボンのアクセントも悪くはない。
女性が着ていたならば。

本来はミクネ用に用意されたドレスだったのだが、
「動きにくいからスーツがイイ！」……と青年用に用意されていた服を
横から彼女がかっさらった挙句、もう他にスーツの予備がないと言われての苦肉の策であった。

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