とある洋館の地下室に、三人の人間がいました。
一人は、上品な礼服を着たこの洋館の主、伯爵。
一人は、黒い法衣を纏った魔導士の男。
そしてもう一人は、真っ白な髪に、病的に白い肌、くすんだ蒼い瞳の少女でした。
彼女は全身の色素が抜け落ちても、以前この洋館に住んでいた黒い髪の少女の面影を残しています。
しかし、感情までも抜け落ちたかのようなその表情は、全くの別人のようでもあり。

「私が分かるかい？」

伯爵の問いかけに、さも不思議そうに首を傾げます。
そして、彼の頬に両手を伸ばすと、確かめるようにぺたぺたと触ります。

「……多少の記憶は引き継いでいるはずだが、それがどの程度なのか、
　彼女がどんなことを憶えているかは、私にもわからんねぇ……。」

「ああ……、別に構わんさ。」

伯爵は、魔導士の話の内容など、どうでもいいといった風体です。
娘と同じ姿をした何かが、氷のように冷たい指で頬を撫でる感触を、愛おしそうに受け入れます。
色は抜け落ちたものの、以前のような艶の戻った髪を撫で梳きつつも、
彼女の唇が僅かに動いたのを見て、耳を傾け澄ませます。

「……………オ・トゥ—————サ、マ—————」

確かにそう聞こえた声に、伯爵は嬉しそうに、白い娘を抱きしめるのでした。



「……また、たくさんの事を教え直さねばな。
　これから、また忙しくなりそうだ。

　そうだ、何か絵本でも読もうか。
　本は、人間の集めた叡智の粋だ、得ることも多いだろう。

　……そうだね、南の果ての氷の海の姿無き怪物の話なんて、どうだろう？」
　

こちらは敵意は全くないものの戦意は十分にある

沸いてでてくるような黒色のとげを前にすごく楽しそうです。
先ほど食いちぎられた腕と鎌が融合し刃渡りが長大化していきます。

ばっ、と頭からうさぎを離す。
なんかこうねばーどろーっとするのを想像したらしい。
そんで本当に溶けるのか凝視してみたり。

部屋に強い照明を灯す。部屋中が強い白色に晒された。

ちりりと、肌が焼ける音。夜の種族にとっては毒となる強い光を受けて、ミハイユは目を押さえながら、慌てて部屋を出てゆく。

いい感じに冷めた焼き芋をもぐもぐしつつ。
そろそろ頃合いでしょう。

＼ あっ　こんなところにパカラがいるよ！ ／