声が聞こえたような気がした。
それは聞き覚えのある旋律。
誰かの歌声。
視界の中に声の主は見当たらず、ならば後ろかと振り返った、まさにその時。

『グッレーイ！』

名前を呼ぶ声と共に、物理的に視界を遮られた。
何が起きたかわらないながらも反射的に、顔に飛びついてきたその相手を、ぐいと押して遠ざける。
引きはがされた相手は、銀の髪の少女。


「テっ……ルーチェ！？」

『はい、よくできました』


驚き目を見張る少年とは対照的に、少女の声は落ち着き、そして満足そうに笑う。


『少し見ないうちに、背が伸びたんじゃない？』


楽しげに問う少女の目線は、少年よりも幾分低い。


『貴様が縮んだのだ、バカものめ。』

『グレイはあんまり変わってない…と、思う。』


目線と同じ高さから、しかし上から目線の小さな生き物と、静かに声をかけてくる子供。
傍らの2人に微笑みで返す少女。


『リベラは相変わらずそうね。
　そちらの小さい子はー……ジーナ、かわいくなった、わね…っ。』

『我とて、好きでこんな姿になったわけではないわ！』


後半は明らかに笑いをこらえる様子で顔をそむける少女に、小さな生き物は不満の色を隠すことなく返す。


『感動の再会もいいけど、そろそろ戻ってこないと置いてかれるぞ？』


苦笑しながら緑の青年が指摘する。

仲間達の影は遠い—……。