「僵尸(キョンシー）とはね、自然現象に起因するミイラの呼称のひとつ—」

「別に乾燥地帯特有ってわけじゃあないさ。地下水に浸かったまま死蝋と化した例もあるしね—」

「キョンシーの伝承は、大きく二種類あるね—」

「≪死体が長い歳月を経て、人を襲う怪異と化す≫伝承と、≪新鮮な死体が動き出す≫伝承だね—」

「この送屍術は後者。『清稗類抄』第三十三冊方伎類に詳しいから、読んでおきなさい—」

「え？なぜやるのか？そりゃあ故郷に帰るのが一番だからさ。例えそれが死体であっても、ね—」

「今はわからなくていい。お前も長い旅にでればわかるさ。」

「…いや、わかって欲しい、の間違いだね。単なる年寄りのワガママさ—」

昼間みた変人がつかっていたキョンシー法のことを—
机に置いておいたはずの御札の写しは、いつの間にか床に落ちていました。

　ポポロもたいして気にはしてないのか、
　花壇の話を振られるとそちらに目を輝かせ、

　なにやらノリノリである。

質問攻めの構えです。

よくわかってないようだが後半の事に関しては同意見のようだ。
　

【手作りマドレーヌ】を手に取りその形状に見覚えがあったのかぽつりとつぶやく。

"なべ姉が黒き森の魔女だって…
どうやってわかってもらってる？"

禅問答のような、哲学のような言葉に面食らう。
そうこうしているうちに始まった、ロロムのエンブリオの説明。

目を閉じ、呼吸を調えて神経を集中させる。
早口に異国の歌のような言葉を唱え始め。

ふわ、と風が彼女の周りにまとわりついた。
大鍋が魔女の前に立った。