精霊都市タリスで生まれた子供に精霊の力が濃く現れると、
体に証を持って生まれてくることがあった。
"精霊の恩愛"と呼ばれたその魔法陣にも似た模様が、
ガルには鎖骨の下にあり、精霊デランバーとの契約の核として働いている。

ガルが陽、デランバーが陰の関係であり、基本的に昼間デランバーが活動することはない。
陰陽の関係が尤も力を発揮できる契約状態であり、精霊を立てる条件の1つでもある。
精霊は無性であるから、生物でいうところの男女の関係に置き換えられているのでは、
との説がタリスでは支持されていた。

この国のネクターを用いれば、ある程度その契約を捻じ曲げ
デランバーを昼間使うことも可能であることがわかったが、
煩いのを嫌うガルにそのつもりはなかった。
それよりも、デランバーが吸収した力の一部だけを
ガルの任意で使うことが出来るかもしれない、と考えていた。

立ち去らんとする様を慌てて引き止める。

などとガルをお構いなしに話し始める。

聞かれてもいないのに答える。本当に、お構いなしである。

　相手の様子を見て、少しだけ警戒を解いたように見える。

　他人事のような口ぶりだ。