翌日の進行までの時間の余裕が出来ては、元の世界へと一旦戻る俺たち。
ここんところは戻るのも遅い時間になったりメルンテーゼの宿で一泊する機会が出来た故、元いた世界でゆっくりすることも少なくなってきた。
といってもまだそう長くはない…、夏休みが始まってからまだ一週間程度しか経過していないし。
けどまぁ一揆がはたしてどれくらいの期間続くのか…、それによっては九月になってからもしばらくはメルンテーゼに行く必要も出てくる。
そうなると学校と一揆の両立も難しくなってくるだろう…、ただでさえ平均ギリギリだというのにこれ以上響くことが増えれば今後の進路も危うい。
それでも今は出来る限りのことで何とかしていこう…、万一のことがあれば策は用意しておくとルーディも言っていたし。
ただ…、何をやらかすのかは恐ろしく不安であるのだが。

さて…、風桜市の今日の天気は激しい雨と落雷が続いている。
ここんところは雨が降ることも少なかった為にダムの水が不足する等の問題が発生していた為、久しぶりの雨は喜ばしいようにも思える。
しかし肝心の雨はあまりの豪雨ぶりに洪水が発生している地域もあり、その影響は大きいものである。
俺の住んでいる地域じゃ洪水はないものの、激しい雨に変わりはない。こうも酷いと車の運転もひと苦労するだろう。
おまけに外は落雷ときた。一部じゃ停電が起きているし、こっちの家まで停電にならないかも心配ではある。
去年も雷の影響で風桜市は大規模な停電があったようだし、今年も同じようなことが起きなければいいんだが…。

俺のすぐ近くでは、耳を塞いで丸くなりながら雷の歌をうたうルーディがいる。
ご丁寧にぷるぷる震えているあたり、よほど雷が苦手のようだ。
…いつもの性格からは、まるで想像が出来ないなぁ、こういうとこ。

外がビカッと光れば、まるで爆発音のような大きな雷の音が響き渡る。
大きな雷は耳を塞いでもかすかに聞こえるし、微妙な揺れも感じたりするもんだ。

ルーディはテーブルの下に隠れては耳を塞いで丸くなり、ぷるぷると震えている。
そんなところにいても何も変化ないと思うが…。しかしこのルーディ、まるで雷が苦手なペットのようだ。

ルーディが一瞬耳から手を離している間に、再び大きな雷が落ちる。
大きな光と、爆発のような雷の音は、ルーディにとっては地味にダメージになることだろう。

…その声、雷で怖がってる声とは思えないんだが。
つーかどう聞いてもあれですよね、エロゲにありがちな悲痛の声みたいですよね？
…とまぁ、そんなことを言っている場合でもなく、雷が落ちれば突然と部屋の電気が消えた。
窓から外を見てみると特に他の家の明かりまで消えているという訳ではなく、おそらくこちら側のみのようだ。
雷でブレーカーが落ちたんだろうか…、俺はブレーカーを確認しにその場を離れようとした。
しかしその時、俺の足首をぐっと手で掴まれた。

ルーディはテーブルの下からゆっくりと出てくると、外はまたびかっと光る。
その光が暗い部屋を一瞬照らすと、ルーディはすぐさまこちらに引っ付く。
…とりあえず、カーテン閉めておくかなぁ。…後で。

俺はルーディを連れて、玄関へと向かった。俺の家の場合、ブレーカーは玄関のドアの近くに配置されている為である。
…ルーディが引っ付いている為、少々動きにくいが。
近くの懐中電灯を手にし、ライトの光を照らしてブレーカーを確認…、やはり先ほどの落雷でブレーカーが落ちていた。
手を伸ばしてブレーカーをカチッと入れると、消えていた部屋の明かりもすぐさま元通り。
しかしまだ外はゴロゴロ鳴っている…、また次のでかい落雷が来るかもわからないな。
とりあえずは部屋のライトを五段階ほど明るさを下げ、テレビも一旦電源を切り、なるべく雷が収まるまでは部屋の電力を抑えてみることにする。
あとはカーテンを閉めておこう、ルーディが雷の光を気にする。…それでも、雷の音までは防げないが。

とまぁ…そんなことを話している間に、またでかい雷が落ちた模様。
大きな音は部屋の中でも十分目立ち、相変わらず爆発音のようである。

あっ…、またテーブルの下に潜った。
ルーディは耳を塞ぎ、丸くなりながらぷるぷる震えている。

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外の激しい雨と雷もしばらくすれば収まった様子をみせ、ルーディもテーブルの下からひょっこり出てきた。
その時はまた雷が来るんじゃないかという恐れがあるのか、入念に窓の外を見ていたり、テレビの天気予報をチェックしていた。

ルーディはもう平気だと強がりを見せているものの…、どうみてもまだ怖そうにしているのがわかる。
しかし何でルーディは雷が苦手なのか…、作られた存在にもそんなところがあるというのは…ちょっと気になるなっ。

とりあえずは、ルーディの頭を撫でておく。
どのみち嫌でも布団に潜るのは想定できる…、こいつのことだし。
妹に似て本当に手のかかる奴だ…、まぁ…妹よりはまだマシなほうだと言い切る自信はある。
…こんなことを言っても、妹が大切な家族なことにはまぁ変わりはないけれど。
少なくとも…、この雷の時に妹が来なくてよかった…、これで来てたらさらに手間がかかっていたことだろう。
さて…、もう夜だし、夕飯の準備をしよう。今日の夕飯はバターチキンカレーだ。

聞いてきたのは此方の割に、ゲート、とかいうものの相手の説明は……聞いていてもいまいちピンとこなかったらしく、首を傾げたままの姿勢で止まっており。
えーと、と…指を動かしてみたり、何やら考え込むような顔のまま、数秒、思考停止。

結局わかったのは一人の力では異世界の扉は開けないという事だけだった。
ならば、と。質問をもう少し具体的なものへと変えて。
少しばかり俯きがちに、ちらり、とだけ相手を上目遣いで見。

あははと笑い。

レティはルーディを抱きしめながらなでなでしている

アクスをぶんぶん振り回しつつ

きょろきょろと周りを見渡す

アクスをぶんぶん振り回しつつ