これは、レイとカゲが出会う前のお話。



森の奥深くで、小さな闇が生まれた。

小さな闇には意志があった。
生まれたままでは不安定で、すぐにでも消えてしまいそうだった。

小さな闇は近くのトカゲを取り込んで、小さな黒いトカゲの姿を取った。
トカゲが持っていた森の魔力は額に集まり、真紅の角になった。

森で魔力補給と称して闇で森の魔物を捕まえては、その魔力を食い、
真紅の角にそれは溜まっていった。

やがて十分に動けるようになった闇は、森の外に出た。
取り込んだ魔物の知識から得た情報を元に、
闇はたくさんの「ニンゲン」と呼ばれる生き物を見た。
人間の姿と似ていても、それはことなるモノも居た。

愛しあい、憎みあい、殺しあうその生き物達を、いくつも見た。

面白い。

闇はいつしか人間を取り込む気にはならず、
彼らを見ていることが楽しくなってしまった。

そして闇は一人の人間に近い生命体に興味を持った。
ハーピィと呼ばれる鳥と人間の混合。亜人とでも言うのか。
魔物に近く分類され、女性の身体に鳥の翼と下半身を持つ者が一般的らしい。

しかし興味を持ったのは、白い「男」のハーピィだった。

彼の者が歌うハーピィの歌には魔力が込められ、
その歌は男を喰らわずとも、それだけで己の魔力を高めることが出来た。

闇は男に声を掛けた。力を貸してやる代わりに、歌を歌えと。
代わりにその男のハーピィ「レイ」は「カゲ」と名を闇に与えた。
「闇」は「カゲ」となり、レイのエンブリオになった。


飛び回るレイにトカゲの姿では不便だからと、
カゲはレイの契約したエンブリオの鳥を取り込んだ。
レイは哀しい顔をしたが、理由を言えば黙った。

契約してしばらくして、生きる意志を無くした人間に出会った。

カゲは願いを聞いてやる代わりに、その生きる意志を無くした人間を取り込んだ。


そして、カゲは人間の姿を得た。



『・・・未だ、この姿を保つには魔力が足りぬのう』

祭りとやらの後、なんとなくカゲは人型になり、独り愚痴を零した。
その愚痴は、すぐ傍に居た、レイと旅を共にする兎人に聞こえただろうか。
そんなことを気にもせず、カゲの人間の身体はすぐに闇に崩れ、トカゲの姿に戻った。
軽い溜息を吐きながら、鳥の姿になりレイの元に戻る。

いつもレイの傍を鳥の姿で飛び回っているか、
トカゲの姿で彼の腰の中にある鞄の中に居るか。
傍に居なかったカゲに、レイは声を掛ける。

『少々散歩をしておっただけのことよ。』

未だカゲはレイに人型になれることを話さないまま、
その日は過ぎていった。



※カゲがサブキャラクターに昇格。
今後はメインキャラ：レイ
サブキャラ：カゲの構成になります。


※カゲの人型イベントは交流サイト様、
「Xross Roads」にて行わせていただきました。

http://www.infinite-being.info/fairys/vlc_00/pastLogReader.php?file=/logea92d78de8b8f7f6ecfb719f16b8e5cc&css=%E5%B8%82%E8%A1%9701

撫でられれば、嬉しそうにイヒヒと笑った
青白い影を落とす羽毛が珍しいのか、ニコニコしたまま眺めている

※この会話内ではまだニャトサーレさんです。

耳がピーン！と立っています。とってもテンションが上がっているようです。
へたり込んだレイさんに全力で擦り寄ったり、羽根に突撃したり。
欲望の赴くままにモフモフを堪能しております。怒ってもいいのよ！

なお、本人はとっても幸せそうにしております。

セシルを心配し、声をかけていた後ろで。



「さみゃあ！」

なんか聞こえた。

たんぽぽの魔力を服に移しました。