〜　日曜チキレ劇場　〜
【　けっこんしてよ！ギュス子さん　】

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☆登場人物紹介☆

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【　第９話　『　あたしと契約して、○○になってよ！　』　】




扉を開けたら、そこには別世界が広がっていました。

ここは、冥土喫茶 『有楽飯庵』（うらめしあん）。異次元の扉で何処からでも行ける、憩いの妖怪メイド喫茶店です。
料理自慢のオーナーと、かわいい２人のメイドさんがいつでもお客様をお待ちしております。


さて、前回までのあらすじ。

一揆の進行も再開し、何気なく突き進んでいるギュス子さん御一行。
今のところ特に苦戦することもなく各地を制圧出来ているようですが…。

その理由の一つとして、この世界特有の存在であるエンブリオの影響が大きいということが分かりました。
この世界の大きな構成要素であるとともに、異世界人にも強力な力を与えるエンブリオ。

果たして彼ら（彼女ら？）は何者なのか。メイドさんたちの話題は尽きることがありません。

この世界に来て数日。エンブリオのことはまだまだあまり理解ができていないながらも、
少なくとも契約を行う事でお互いにメリットがあるということだけはハッキリとわかってきました。

契約を結んだエンブリオに、預かった生命の花の与えることで強化され、それぞれが持つ特殊能力を使えるようになるのです。

そのことを知ったギュス子さんはこれまでに割と多くのエンブリオと契約を交わしていました。
契約を交わすと言っても、倒した敵にあたしに協力しろとか、口約束か何かをするだけで出来てしまうものなのだとか。

ギュス子さんの言葉通り多くのエンブリオと契約したのであれば、一人くらい見かけてもいいはずなのに、
その姿はまったくどころか気配すら感じられません。

猫ちゃんの素朴な疑問にギュス子さんはさらりと答えました。

と、なんだか自慢げに説明するギュス子さんでしたが、猫ちゃんの反応は意外に普通。

それもそのはず。実は妖怪の世界にも似たような契約関係があるからです。
妖怪社会でも人間のそれと同様、独特のコミュニティがあり、お互いに共存関係にある集団が外敵から身を守る為に
お互いの妖力を貸し合うという契約で、これを百鬼夜行の契りと言います。

大抵のケースでは同列の立場での契約というより、力の優劣がついた間柄で交わされる契約であるので、
その点でもエンブリオ契約と似たところがあります。

まあここは妖怪の創作設定を語る場でもないので、大体そんなもんと思っておいてもらえたら良いと思います。

と、ここまでの話であればよかったのですが・・・。

恩恵にばっちり預かっているギュス子さんは良い機会だと猫ちゃんにも契約を進め始めました。

対する猫ちゃんはまったくもって興味の外。
得体のしれない妖怪モドキと契約するなんて信じられないといったふうに、明らかに拒否の反応です。

しかし一度火がついたら引っ込みがつかないのがギュス子さん。

今日戦う予定の相手から猫ちゃんのエンブリオに良さそうなやつを見繕ってあげるわ！
と息巻いて、敵の待つ戦場へと意気揚々と乗り込んでいくのでありました。


その数分後。

ギュス子さん。世の中はあなたが思うほど、思い通りにいくわけではないのです。

いきなり空振りにおわったギュス子さんの姿を横目に、猫ちゃんは小さくほっと胸をなでおろすのでした。

そんなこんなで、メイド喫茶は今日もいつも通りの日曜の朝を迎えましたとさ。





つづく。


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