「制限？…何の話だ、俺ァ自分に制限を課した覚えなんざ無ぇぞ？
…あぁ、俺が頑なに単独行動を貫こうとしてるとか、そういう事についてか？
前も言ったかもしれねぇが、そいつァあくまでその方が気が楽だからって理由だし
一応別件の仕事の契約上の話でもあるからな…必要に迫られれば他人と協力する事もあるだろう。
兄さんからしたら他の色々な点もそう見えるのかもしれねぇが、制限を設けてるワケじゃねぇよ」

「兄さんだって、何かを為すに当たって譲れないもの…
いや、もうちょい緩い表現にするか、言い換えれば目標…だな、の1つや2つぐれぇ持ってんだろ？
俺はそいつを遵守してるだけだ。物事をやる時に決めた自分の意思ってのは軽々しく撤回したくねぇ性質でな。
…自分はここでこうする、こうしたいっつう確固たる信念を持って事に臨むつもりでいて
いざ蓋を開けたらそれを達成するのがスゲェ困難な道程だったとしても、だ。
…まぁ、敢えて状況に適応しない道を採る以上、制限を課していると思われても不思議は無ぇさ」

「で、今回そこに他人との競争ってのは入ってねぇモンでね。
だから周りの事なんざ一々気にしちゃいねぇんだよ、羨望も嫉妬も感じねぇ。
…兄さんが言う強さってヤツについては、独自路線をひた走るタイプにゃ
尊敬の念を覚えるのは幾らかいるが…嫉妬心や気に入らねぇっつう感情はまず芽生えねぇよ」

「…ちっとばかし邪推が入るが…兄さんの口振りだと、兄さんからは俺が
自分の力じゃ手が届かねぇ事柄から目を背ける為の防衛線を張っているように見えてる…そんな気がするな。
…だとしたらとんだ勘違いだぜ。テメェの無能さをしょーもねぇ自分ルールで棚上げした上で
他人を妬むなんて、そりゃお前バカみてぇじゃねーか」

「また兄さんの言を借りるならば…選択肢、主義の違い…だな。
俺だって兄さんと大体同意見なんだぜ？兄さんが以前言ってた勝ち負けとは別のトコで戦ってるだけだと思う。
言葉を変えれば…"見ているもの"、"見えているもの"が全く異なるんだろう。多分そんだけの話だ」

「つーかそれでよくパーティとして成立するな！？
まだ兄さん4人の方がマシっつうか、最低限のコミュニケーションすら
危うく聞こえるぞ兄さんの言い振りだと…一日の口数両手で足りるんじゃねぇのか？」

キラーウルフが何かを咥えてきた。