ダイアーウルフちゃんと契約することに決めた時、
　ポーンちゃんは自分から、解約して欲しいと言い出した。

　ポーンちゃんは、決してあたしが嫌いなわけではないらしいし、
　力を認めたのだから契約したのだけど、性格の違いから、
　あたしの戦い方では、少し戦いにくいようではあった。

　解約して元の大きさに戻ったポーンちゃんは、あたしより年上っぽい金髪の女性だ。
　ポーンちゃんというより、ポーンさんと呼んだほうがいいのかも？

　ポーンちゃんは契約エンブリオ達を見て、最後にあたしにこう言った。

『ウィスプとキラーウルフは好戦的だから、気をつけて』

　去っていくポーンちゃんの後姿を見ながら、また会えるだろうか？
　……と、そんな事を考えていたら、どこからか拍手の音が響いた。

『俺はアヴィドってんだ。強ぇ奴は嫌いじゃねぇぜぇー？』

　派手な服を着た金髪の男の人がニヤニヤと笑みを浮かべて立っている。
　戦いを見ていたということは、契約が終わるまで待っていてくれたということで。
　いい人なのか悪い人なのかよくわからない。

　アヴィドさんは人を探しているようで、見かけたら教えて欲しいと言われた。
　王様側の人でもなさそうだし、一揆の参加者でもなさそうだけれど、一体何故ここにいるのだろう。

　他の世界を巻き込んだ時点でこの世界の一揆はこの世界だけのものではなくなっているけれど、それとはまた別に、他の世界を巻き込んだ戦いが起きようとしているのかもしれない。

委ねるような言い回しとは裏腹に、イシュメールの眼差しには半端なごまかしを許さない意思が含まれていた。