Vanetta's Diary - Page.26

無茶はしてないつもりだけど予想以上に綱渡りだった26日目。
確かに多少、敵を求めて派手には動いた。
でも危険度で言えば低いと言っていいあの星屑の小川であそこまでの苦戦を強いられたのは、正直ショック。
凄まじいペースでその現す姿を変え強さを増すエンブリオやその他の原生生物。
それ自体は認識していたけど、私達だってエンブリオの力を借り、鍛え、決して適当に過ごしていた訳ではない。

だからこそ、それでもあの速度では足りていなかったという現実を見せつけられた気がした。

確かに装備の面では若干型落ちになっていたのは否めない。
足りなかったのはそれだけなのか、それとも全く全てが足りていないのか。今日と、遅くても明日には判明するはず。
件のラズロから大量のPSを強奪し、今まで溜め込んだ素材と合わせてつぎ込み自分の分の装備を新調したから。
これでまたしばらくは戦えるはず。そう、しばらくは。戦える、はず。

……この装備でも足りないなら。エンブリオの使い方自体が間違っている事にもなりかねない。
それの改善には、装備の新調よりも随分な労力がかかりそうだから、
できれば、足りなかったのは装備だけ、であって欲しい。

今日は危険地帯として有名な星屑の山。どこまでやれるか。良い結果が出ますように。

そして先日の『ホワイトデー』とやら。
何がホワイトなのかさっぱり分からなかったけど、この一揆の総指揮者でもあるルリアンナに、
通貨やその他様々に用いられ重用されるパワーストーンを貢ぐ、というイベントだったらしい。
今書いて思い返しても酷いイベントだと思う。
一節にはメルンテーゼの時節習慣らしい。そんな訳があるかー！！

……ま、まあ、お世話になった人にプレゼント、と少しマイルドに考えれば、無くはない、かな……

ただここで終わらないのがまた恐ろしい話。重要なのはここから。
今や数千人とも言う一揆参加者のほとんどが参加し貢いだこのイベント。
その全員に対し、何らかのマジックアイテムを返礼として渡したと言う。
さすがに僅かにしか貢がなかった者に対してはほとんど効力のないものしか返さなかったみたいだけど　私もその一人だし
それなりの額を貢いだ者に対しては、この一月弱メルンテーゼを探索した一揆参加者でさえ滅多に見ないような
かなりの効力と実用性のあるマジックアイテムを差し出したという専らの噂。
実際その効果の高さから、自分に合った物を求め大金を叩いて探し求める者も多いという。

恐ろしい点はふたつ。
ひとつは、イベントと称し声をかけるだけでこれだけのPSを短時間で集められる程のルリアンナのカリスマ。
もうひとつは、貴重品であるはずのマジックアイテムをこれだけの量用意でき、放出できるほどの蓄え。

更にもうひとつ付け加えるとすれば、それをも更に上回りこのメルンテーゼを支配している現王の力。

ヴェールはゆっくりと一枚一枚剥がれている。
それでもその向こう側から、或いは全く関係ないところから次々の新しい謎が生まれ続けている。
メルンテーゼ、一体どれだけ私達を楽しませてくれるというのか。
いずれ全てが暴かれるその日まで、全力で付いてって楽しんでやろうじゃない。

　『料理は味付けし直せるから材料用意するといいよ』