つい先日、この世界に到着した俺。
２日目の行動はとりあえず、町の周囲を簡単に歩いてみる事だった。
今の俺は右も左も、どころかこの異世界で自分の能力がどの程度発揮できるかすら判らないので、
できれば雑魚の一匹でも居たら、いい感じの試し撃ちになると思ったのだが。

方向音痴が、災いした。
地図通り、街道沿いに歩いたら、魔物と遭遇することなく町に戻ってきてしまった。
……それは、至極当たり前な話だ。街道と言うのはそもそも、何らかの方法で魔物避けされているものだ。
もちろん町の中に敵がいるわけないし。旅行者じゃないんだから、全く何をしているのか。
けどうかつに道を外れても「ここどこ！」と叫ぶ俺の姿が目に見えすぎて……つい……
（※ナカノヒトのミスでした）

こ、こんどこそ！　と心を決めつつ、地図にルートを記す俺。
この地図がなければ、俺は今頃、とてつもない迷子の行き倒れになっているだろう。
自分で言うのもなんだが、俺はひどい方向音痴だ。地図は読めるが、方向感覚がとてもあやうい。
だからうかつに目印のない所へ行けないんだ。目印あっても迷うけどね。

どうやらこの世界には既に、数多くの冒険者が居るらしく、俺はその中でも出遅れた方のようだ。
言葉を交わしこそしなかったものの、その姿を何人も見かけている。声も聞こえる。
俺には何か、目的があるわけじゃない。ただほんの少しの冒険ができれば、それだけでまあ、充分なんだ。
だから急ぐ必要も、焦る必要もない。”とりあえず”の冒険。手探りでもいい。ゆっくり行こう。
……自分に言い聞かせている？

少なくとも、物を作って食っていくと言うのは、俺にはできないような気がする。
なんたって不器用なんだ。魔法を仕込むくらいならできるかもしれないが。頭を使うのも苦手だから。
俺に許されたのは、妙に高い魔法ステータスだけなんだ。それも、頭脳は必要ない類のな……。
まあ……だからって何も作らない訳にはいかないし、少し考えておこう。

明日もとりあえず一人で歩くとして……けれど一人でどこまで行けるだろうか。
動き出した露天の林檎って何だと思う。暴れてると言って、どの程度の強さなのか。
明日の結果次第では、よければ明後日にも様子を見に行ってみよう。
とりあえず明日、改めて街の近隣をうろついてみる。こんどはちゃんとした、冒険で、な。

昔はチートスペックだったかもしれないけど、俺の”能力”は俺の”世界”でしか効果がないしな……
少なくとも今現在の俺は、ちょっと強い一般人程度に成り下がっているというわけだ。
厨二っぽくドヤっとそれらしい設定語ってみたいけど、このざまじゃあ。
……そんなことをぼやきながら、ウォーミングアップを続けている、俺。
世界移動の反動で身体もやや鈍っていたようだが、徐々に慣らして行けばなんとかなりそうだ。
でも剣はやめる。物理なんてなかった。おれは魔法特化。

そう言えば、先程から、チョコレートがどう、とか噂されているのを耳にする。
もうそんな時期か……そんな、ばれんたいんでい？　……。
……確か俺には、彼氏がいた気がする。
でも、この際、もう過去の話にすることにした。本当はほんの数日前までの話だけど。
忘れよう。忘れられるはずなんてないけど。泣きそう。泣くかも。

（……ページに、濡れたあとがある……）

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過去の日記＋αをURL先にて公開しているかも。

いろは(1686)の声が届いた：
いろは「強制合成は上位で出て来ないのか？　強制合成は・・！」

ローレライト(68)の声が届いた：
ローレライト「ハムスターでも行く？」

鈴菜(2766)の声が届いた：
鈴菜「合成枠募集するかも」

オーウェン(2728)の声が届いた：
オーウェン「人気者のあぶれチョコにでも期待するっきゃない悲しみはハムスターをゲットして癒すしかないな……」

にむこ(1972)の声が届いた：
にむこ「装飾LV15↑料理LV8↑木漏れ日にてご依頼承ります！」