ENo.1604 エナ＝キークロップ

◆朝：椿のヘアピンがすごく役に立ってます◆

今回の相手も女の子の形をしたお人形さんでした。
それにしても、なんでこんなお人形さんがふらふら勝手にいっぱい動き回っているんでしょうか？
・・・じつはあのお人形さんも人形に見えるだけで、普通に生物だったり・・・

エナ「今度捕まえていじくり回してみたいです・・・」
キュ「エナ、声が漏れてるわよ？」
エナ「ひぅっ」

この癖は直そうと思ってもなかなか直せないですね。
確か女の子型以外にも兎型って言うのもあるようですよね。
これからどんな生物にあえるか楽しみです。
帰るときにつれて帰れたら楽しそうなのですが・・・

キュ「エナに魅力がないから無理ね〜」
エナ「う〜・・・そんなこと分かってますよ〜、ちょっと夢を見ているだけなんですから邪魔をしないで下さい」
キュ「はいはい」

そして、女の子型人形は前の時と同じく多くこちらを魅了するような攻撃を加えてきました。
しかし、今回はステータスがアップしているのに加えて、椿から作ってもらったヘアピンの能力でそれをかなりシャットアウトしてくれるのです。
これを頭につけていると魅了っぽい力を吸い取ってくれるようです。もちろん一度に吸える容量があるようなのですが・・・

キュ「それも一回どういう仕組みになっているのか調べてみたいわね」
エナ「そうですね。解析できるかは分かりませんができたら技に加えられるかもしれませんし」

そして、どうやらこれよりももっと容量の大きくなる素材の噂も聞いているのでであってみたいものです。
森にあるようなのですが・・・この世界森に入るととたんにすっごく怖くなりますからあんまり入るのが嫌なんですよね・・・
ついでがあるときに見つかるのを期待しましょう♪

エナ「うーんと、これってわたしのあれを吸い取ったりはできないのかな？」
キュ「あれはちょっとタイプが違うから無理なんじゃない？」
エナ「そうですか〜・・・」
キュ「いや、今度なったら試してみてあげるよ、うん」
エナ「わたしがかじりついたりしないように気をつけてくださいね」

あれ、というのはもちろん我慢できなくなっての暴走のことです。
あれも同じような神力がたまりにたまって起こるものなので、
期待大です。

◆昼：いいお酒が買えました♪◆

エナ「るんるんるーん♪」

なぜこんな鼻歌を歌うまでに機嫌がいいかというと、
そのときはお酒を手に入れてすごく幸せだったのです。
しかも、昔すんでいたところで好きだったのとほぼ同じものを見付けて買ってきて
もう、喜の感情があふれ出るのを押さえきれず

キュ「うっとうしい」

といわれるほどなのでした。
それでもいいんです、好みの味のリコロにこの地で出会えたんですから。
リコロというのはミルクリキュールの一種でとても甘いお酒です。
ただし、結構アルコール度数は高いので一気に沢山は飲めませんが・・・

キュ「まぁ、いいわ。わたしもそれ好きだし。晩酌するならつきあうわよ？」
エナ「いいですね〜、これを使った保存食でも作りながら残りは飲んじゃいましょう♪」

とはいえ、今は旅をしている身。
こんな瓶に入ったお酒をいつまでも持って歩いてはいられません。
いつ割れるか分かりませんし、結構かさばります。
殴って武器にしたりはできるかもしれませんが、そんなことをするとすごくもったいないことになってしまいます。

エナ「はい。厚めの飴の中に封じてしまおうと思ってます」
キュ「へ〜、それはいいわねぇ」

チョコレートボンボンならぬキャンディーボンボン？です。
中からだんだん溶けてきそうですが、そこはいろいろと工夫しますよ〜♪
というか、中のお酒の味が変わって欲しくないので溶けない飴にします！

◆夕方：ちょっとの間だけ別行動なのです◆

キュ「いったん別れて別々の場所の拠点をたたくんだった？」

お昼に相談して決めたことなのですが、
ここら辺は野党が沢山存在していて、それぞれがこのあたりを通る旅人や商人なんかを襲っては金品を強奪しているようなのです。
どうやら、命までは取らないようなのですが、

エナ「はい。そうです。今回は三人でいたら目立ってしまいますし、一カ所しかつぶせませんからね」
キュ「一人で大丈夫なの？」

そうは言っても相手も野党
それも指名手配が回るような人たちな訳ですから、そんなに弱かったりするわけはないでしょう
そう思うと少し不安になってきました。

エナ「たぶん、噂を聞いた限りでは今のわたしたちならきっと大丈夫だと思います」
キュ「ま〜、負けそうになったら微力でも手伝うからね」
エナ「そのときはお願いします」

◆夜：新しいお薬爆弾◆

エナ「かんぱーい♪」
キュ「かんぱーい♪」

というわけで、普通に森の中で晩酌を開始です。
燃料になるような木はたくさんあったのでたき火をし、
それを囲んでのミニ宴会です。

エナ「はぁ〜、今日は結構な距離を歩いたから疲れました〜一気に歩きましたからね〜」
キュ「そうね。オルゼの街がまたずいぶん遠くなってしまったわ。今ならスティルフの方が近いんじゃないかしら」

オルゼの街から野党の出ると依頼書に書いてあった場所までは結構離れており、一気に移動する必要があったのでした。
それで、いつもの倍移動したわけですが、元々運動不足なのもたたって足が結構痛いのです。

エナ「でも、そうやって運動した後の甘いものは格別ですよね♪んっ」
キュ「そうねぇ、わたしは全く疲れてないけど」
エナ「・・・・・・ま、今日はいいです♪」

わたしの首に巻き付いてイタだけで楽をしていたキュークのこともおいしいののおかげ出来になりません。
ちょっと引っかかりはしましたけどね。
それと、ちゃんと飴を作っておかなければです。

キュ「ほんと、この世界に来てから料理の腕は上がったよね〜」
エナ「そうですね。必要に迫られているというのもありますが、食材が多種に及んでいて上達せざるをえないのです」

旅を始めた当初こそ、その辺の草になっているような実や草そのものを料理に無理矢理していた時期もありましたが、
最近はかなりまともな食材が襲ってきますので楽しいのです。
今日はこんないいお酒も使えますし♪

キュ「一日で飲み切っちゃうのはもったいないけどね」
エナ「仕方ないですよ〜、それぐらいちゃんと消費していかないと回りませんからね」

前述の理由もありますが
どんどん新しい食材も増えてくる昨今、古いものをずっと持っているような余裕はないのです。
といいつつ、今は飲みたい分のみたいだけなのですが

キュ「それはそうとそっちの四食の玉は何？」
エナ「へ？・・・ああ、これですか？・・・えいっ」
キュ「ちょっ」

ぱーーーんっ

キュ「げほげほ・・・ん？なんか頭の中がもやっとしてきて気持ち悪い・・・」
エナ「ちゃんと成功してますね。新しく作った武器なのです」

そう、今回新しく開発した武器は四色のかんしゃく玉
色は赤、黒、白、青それぞれ
赤：明るいということを表す色で、今回は麻痺効果のある薬品を詰めました。爆発するときも視覚から麻痺を誘います。
黒：暗いということを表す色で、今回は身体の力を弱める煙を出すようにしました。黒煙が立ちこめる嫌な玉ですね。
白：顕わということを表す色で、今回は生物の根底である色欲を顕わにするようにし向けるお薬を散布するようにしています。
青：漠としたということを表す色で、今回は意識を漠としてもらうために、思考の回転を遅くする薬品を使いました。今キュークにぶつけたのはこれです。

キュ「実験するならするで・・・前もって言いなさいよ・・・」
エナ「ごめんなさーい」
キュ「はぁ・・・」

これを沢山作ったので、戦闘になれば相手にぶつけるだけで効果が出てくれるという便利な代物です。
一度に持てる数は九個ぐらいが限界かなーと思っていますが・・・
ちゃんと当てる練習をしなければなりませんね。

◆過去：お母さんについて◆

今日はお母さんについて軽く書いてみようと思います。

お母さんの名前はクリコ＝キークロップ。
お父さんの方が苗字を変えたかったらしく、キークロップ姓はもともとはお母さんのものです。
キークロップの意味は「言葉の集まり」らしいです。

姿は青緑の強いウェーブの入った長い髪で、ちょうどわたしの耳や尻尾の色が多分お母さんの髪の毛から来ています。
肌は外に出ないのもあって過青白い肌色で、目も淡い青色をしています。
一見薄すぎて光彩が見えないので怖く見えたこともあった気がします。
身長は低めというかわたしと同じくらいで、スリーサイズも・・・なんだか成長の期待が持てません・・・
死ぬ句は淡い色のだぶだぶした服を好むようですが、司書の仕事中はぴしっとスーツを着ています。

種族は当然ながら本の精霊。
好きなことは本を読んだり書いたりすること。
嫌いなことは火らしいです。
本の精霊と言うこともあるのでしょうがお母さんの火嫌いは相当なもので、料理以外の火を見るやいなやどこからともなく水を召喚して火を消しにかかります。
しかも、パニック状態に陥っているため水の量を調節できず、図書館内がプールになってしまうこともしばしばだったりします。
（お父さんが癖で火を指にともしたりしてしまう。それと、本は濡れない破けないようにお母さんの魔力が通っています）

そもそも、わたしが住んでいた図書館は本当に大昔から有り、
歴史文書の中にすら登場するくらいのもので、お母さんはこの図書館の意志のようなものだという話で
長い長い時間をかけて確固たる形になったらしいです。
だからある意味本を食べるって言うこと自体がお母さんのお乳を飲んでいるというのとそう大して代わりのない行為であるのかもしれません。
・・・ってそんなことを改めて考えていたらすごく恥ずかしくなってきました。
わ、忘れることにしますね。

そんなお母さんですから、当然全館の本は当然読破しており、
それどころか全文を一時違うことなく覚えているそうです。
これが多分わたしに移っちゃっているのだとは思うのですが・・・
お母さんのすごいところはその読んだ知識をそのまま実践できてしまうところです。

普段は本当に娘のわたしが言うのもなんですがほんわかしていて結構ぼんやりとしています。
一回で言うことを聞き取れなかったり、普通に寝坊したりと・・・
思いっきり寝癖の髪をしたまま司書の仕事をしていたこともありましたね。