今度こそ一章続き——


以前ヘイルお姉さまに作ってもらったクッキーを一枚だけ取り
黒い女の人からもらったおにぎりをほうばりつつ枯れた大地を進んでゆく。
正直、このおにぎりを食べるのには躊躇したけれど。
あの殺人料理を食べた後では贅沢は言ってられない……食べれるだけで神様に感謝したい気分だった。
あれからこっ酷くローゼお姉さまが〆られていたけども……途中で力づきて寝込んでしまった。
反省なのか、ローゼお姉さまがヘイルお姉さまをおぶっているけども
あの小さな体のどこにそんな力があるのかは未だ不思議でならない。

さて普通なら休んでいる状況でもそんな事は言っていられなかった。
先ほどの号外で送られてきた新聞が原因である。

「アズ、これは貴方も見ておきなさい。」
いつの間に新聞なんて贅沢なものを取ったとおもったけれども内容を見てすぐにその考えを撤回した。
「やれやれ物騒な世の中ね？最近は平和に見えたけども。」
ローゼお姉さまの言葉はもっともだと頷く。
確かに最近は一揆があってかメルンテーゼの人が騒ぎを起こす事はあまり耳にしなかった。
ならず者でも共食いをしてる場合では無いと察したのだと推測できる。
だから……ちょっとは圧政があってから酷い有様だった世界に平和が訪れるものだと思っていたのだけども。
そこに乗っていたのは一面をでかでかと飾る賞金首達の顔写真であった。
「どうやら……集められた冒険者のしわざのようね？」
確かに横に大きな文字でそう書かれている。
「理解出来ないわねえ……態々集められたこの地でこんな騒ぎを起こすなんて……なんの為にきたのかしら。」
荒事では珍しく機嫌の悪いローゼお姉さまの姿がそこにあった。
集められた者として、領主としても思う所があるのかもしれない。
「どうする？」
本当なら休みを取ったほうがいいとヘイルお姉さまの姿を見ながら尋ねる。
「そうね、じっとしててもいい獲物になるだけだし…急ぐぐわよ？」
「で、でも。」
「この子もヤワじゃないから私が運んでる間には回復するわ。それに……急ぐ理由はもうひとつ有るわ、前にも言った小さなドラゴン……みたいでしょう？」
「……ぁと……うん見たい……でもどうして？」
「うーん、もう少しできえちゃいそうな気がするのよねぇ？」
「え？……い、急がなきゃ。」


そんなこんなで、途中10分ほどの休憩でここまで歩き続けであったりする。
ただ……いい加減脚にきて……倒れそうだった。
なんて物騒な世界になってしまったんだと賞金首の顔を思い出しちょっとばかし呪ってみる。
こんなもに効果があるとは思えないなと苦笑いし、もくもくと歩き続ける。


Next...

彼女の心が読めたのか、触ってみても良いよとOKサインを出して
ブルーは少しだけ彼女に近づいた。この距離ならば、苦労せずに触ったりすることが出来るだろう。

彼はほんの少しの間、無言になる。
どうやら若、もといジャックに詳細を伝えたようだ。

と、そんな話をしていると、外から「お〜い！」と声を出して、男の子がやってきた。

彼は二人の姿を見つけると、向かい合うように椅子にするりとすわり
彼は苦いのも、独特の風味すらも違和感を感じることなくゴクゴクとお茶を飲み干した、まずさなど微塵も感じなかったのだろう。

その声はどことなく、ほほえましそうに笑っているように聞こえた。

どこか厚ぼったい髪の毛をどけると、一瞬だけ額に眼が見える
貴女がまばたきをする間に、ふつうのオデコになっていた

頭の中では、ちゃんと説明できるのだが
人間に伝わる言葉を選ぼうとすると、語彙も知識も足りない

そう呟きながらも、道を歩みます。
……"湖"の話が始まれば、歩みを止めました。

……何処か思う所がありそうに、言葉を投げかけました。

鼻先で優しくすりすり。か弱そうなシャーベットさんが手を怪我している事の方が心配だ…。

角もじんわりと温いかもしれない。