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　○月×日　タンポポ荘　クーリア自室　
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ロッテちゃんは……私にとって、初めての親友で……



私の住んでいた村には、同世代の友達は居なかった。
いや、居なかったんじゃない。
今にして思うと、多分、私は、誰にも会わないようにされていたんだと思う。

私が、サキュバスだから。

サフィニアさんの話によると、私の本当のお母さんは、人間の友達、私がお母さんだと、今まで思っていた人に預けたらしい。
そして、私は、人間として安全に育てられた。

だからきっと、この角や翼が、人に見られないように、隠されてきたんだ。



一揆が始まってから、ずっと一緒に居て、ずっと私を助けてくれて……



私がサキュバスでも、親友だと言ってくれたロッテちゃん……



ロッテちゃんは、私に死んで欲しくないって、そう言ってくれた。



私だって死にたくない。
こんな戦いに参加しておいて、変な話だと自分でも思うけど、死ぬのが怖い。
自分の身に迫って、本当に、怖いと思ったんだ。

折角できた友達、ロッテちゃんや、まいらちゃん、フィーグルさん、ポポロさん、ピアさん、ユナちゃん、蓮華さん、スカルさん、エリアさん、サニーさん、シトロンさん、花冠さん、マキリさん、そして、タンポポ荘の皆……

皆とお別れだって思ったら、凄く悲しくて……凄く怖くて……



でも、私は……



ロッテちゃんから吸魔することなんて……できない……



ロッテちゃんが、私に死んで欲しくないって、そう言ってくれたことは、本当に嬉しかった。
でも、私だって、同じくらい、ロッテちゃんに死んで欲しくないって思ってる。



大好きなロッテちゃんが死んじゃうくらいなら……私……私が……



…
……
………



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　同日　某所
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私の気のせいかな、などとこぼしながら、彼女の髪に目を遣る。
なんとなく言ってみたものの、私も髪の結び方なんて多くは知らない。

そう確認しながら、クーリアの髪にするりと手を伸ばした。

珍しいクーリアの様子に、ちょっと驚いた様な顔を浮かべる。

クーリアの性格上、他人を疑う事はまずしないだろうし、自分を守る者や優しい言葉を投げかける者であるなら尚更だ。
…もちろん、本当に心配している可能性もあるのだが。そう思い込む事ができる程、彼女は愚かでも純真でもなかった。

元は己の魔力の大部分を分けるつもりだったが、そんな事はおくびにも出さずに言ってのけた。

大丈夫、と言われれば。
……そう

頬笑み、クーリアの頭を撫でようと手を伸ばす。
大丈夫なわけがないのは分かっているが、自分の話を聞いて尚、強がりたいと言うのならそうさせる事にした。
強がりができなくなったその時こそが、自分の出番だと思いながら。

辛かった、と心情を吐露されれば。
はっきりと答える。

クーリア。たとえ何者であれ、どんな状況であれ。
誰かと一緒にいたいと思う事は絶対に間違いなんかじゃないわ。
まず、それは覚えておきなさい

それから。一緒にいたいなら、ちゃんとそう言いなさい。
…大丈夫。必ず何とかしてあげるから。だから、今は自分の事を大事にしなさい。

それから、自分でも調べてみる事！　不安なのは分かるけど、他にも解決手段があるかもしれないでしょ？
自分でも色々と話を聞いてみなさい

その方が気も紛れると思ったのだろう。
元気付けるかのような、力強い笑顔でフィーグルは言った。

話を始めたのは俺の方だしな、と、
その言葉は、クーリアを気遣ったわけでもないのだろうが。

それから、クーリアの問いには。

視線の向く先は、遠い。

それを、諦めてしまったのは、