淳陽にとっても、今日は年に一度の大切な日である。
この日ばかりは、淳陽もいつもの服装から、正規のローブに身を包み、聖書を手にして、誰からみても牧師とわかる姿となっている。

いつもであれば財布の口を開くことすら嫌がる淳陽であるが、２〜３日前から町で必要なものを高価なものであろうと気にした様子もなく大量に購入しているのであった。

淳陽にとって、降誕祭とはそれほど大事な日なのである。

町の片隅を借り、酒場からよい大きさの台を持ってきて、蝋燭を何本も灯す。一見怪しく見えるが淳陽が、降誕を祝うために時折行ってきた簡易的な礼拝の光景である。
そして、彼は教壇（酒場の台）の前に立つと、高らかに聖書を読み上げるのであった。たとえ、参列者がいようがいまいが淳陽にとっては、この時のみは関係がないのである。

１時間程の礼拝の後、彼は道すがらケーキや飴などを人々に配って歩くのである。
これは彼の一年間の主への感謝と、教えに背きし行為への懺悔が含まれているのである。