"夢"を見た。

それはまだ、俺が右目を失う前、施設に飼われていた時の夢だ。



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「ねぇねぇ、アイン！アイン！」

小さな金髪の髪を靡かせ、無垢な少女が俺の過去の名を呼んだ。

「アインは外の世界を見たことがあるって本当？」

「あぁ、暴徒鎮圧の協力ってことで外に行ったことなら一度あるぜ。」

やらされたのは、ただの人殺しの手伝いだったが。

「うわぁ、いいなぁ！ねぇ、アイン！外の世界のお話もっと聞かせて！」

「それは別に構わないが・・・マリスはもしかして外の世界に興味があるのか？」

「うん！だって、外の世界には絵本の中の動物さんやお花さん達がたくさんいるんでしょう？」

マリスは宝石のように青く綺麗な目をキラキラと輝かせてそう言った。

「・・・あぁ、そうだな。」

「いいなぁー・・・私もいつか外の世界にいってみたい！
　ねぇ、アイン。私もアインみたいに強くなったら外の世界に行けるかな？」

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そこで夢は終わった。

あの時、俺はマリスに何て言ってしまったのだろうか。

・・・思い出せない。まるで記憶のパズルのピースが抜け落ちてしまったかのようだった。

そう豪快に叫んで、新しく契約したガーディアンの『アルファ』は姿を消した。

・・・契約するエンブリオを間違えたかな。

「ご主人様、朝食のご用意が出来てございます」

今度はシツジの『メリー』が姿を現した。

「お前らってさ、なんていうか、本当に自由だよな・・・」

「我々はエンブリオですので。」

そういう問題なのか・・・



朝食を済ませ、特に予定のなかった俺はその辺のベンチで横になって一服をする。

こちらの世界での装備は一式整えた。エンブリオとの契約も順調だ。

だが、まだまだ今現在最前線で戦っている連中には遠く及ばないだろう。

焦りはいついかなるときも禁物だ。功を焦って犬死した連中を俺は施設で多く見てきた。



通り過ぎる人々を隻眼で流し見る。

俺と同じ異世界から来た一揆の参戦者と思われる人物もちらほらと見えた。

そうやって何時間も通り過ぎる人々を眺めていたが、なかなかピンとくるような奴は現れなかった。

諦めて宿に戻ろうとした帰り道、小さな男の子と女の子が道端に見えた。

外見的な特徴から、おそらくそんなに歳の差がない兄妹だろう。

泣きじゃくる女の子を、男の子が眺めている。そんな場面だ。


気になって話を聞いてみると、まず女の子が親に買ってもらったばかりのヘアピンをどこかに失くしてしまったらしい。

男の子は今日、それをずっと探してみたが見当たらず、諦めようと言ったところで女の子が泣き出してしまった、と。



さて、こんなとき本物の英雄ならどうするだろう？



そんなことを考えながら、俺は女の子にこう尋ねた。

作り笑顔で、俺はまるで何処からともなく現れた親切な英雄を演じた。





結論を先に言えば、俺はその兄妹に感謝された。

俺はノームの『ダンジョー』に作らせた偽物のヘアピンを女の子に探したら見つかったと言って手渡した。

本物のヘアピンの行方は結局わからないままだったが、女の子はそれを本物だと思って喜んだ。

男の子にはそれが偽物であることをこっそりと伝えた。

男の子は最初は驚いていたが、それで妹が泣き止んでくれるのならと納得していた。

そして、小声で女の子には聞こえないように俺にこう呟いた。


「"本物"が見つかったときは、"偽物"はいらないから捨ててもいいよね？」




・・・あぁ、思い出した。

あの時、俺があの子に言った言葉。

酷く残酷な現実、あの子がおかしくなり始めたきっかけとなった言葉。



「いつか"本物"が現れたとき、"俺達"は処分されるから無理だろう」




すべての悲劇は、きっとこの言葉から始まってしまったのだ。

俺は勢いよく手を振り返した。
挨拶には挨拶を。
初対面でもやたらと大きく手を振るのは基本である。

しかし、次の質問にはさすがの俺も固まった。

急に話しかけられ驚いた、その表情のまま自分の右目のあるべき場所をそっとさすっている。

あなたの取り出したたくあんをみて、男は一瞬首をかしげ、そして口角を持ち上げる。
そして自分の酒瓶を取りだし、軽く振って示して見せた。

勘づいた。

自らを『贋物』などと称する日に焼けた肌の男を胡乱げに眺めたが、悪意のない様子を感じ取り警戒を解いた

そう言って帽子を取り一礼した

そっと王城の前を指さしながらニヤリと笑った

　　　　　　　　　　幻妖な光を放つ木の葉の裏側から、覗きこんでるあなたはだぁれ？

　　　△　　土　▲
　　（　㊤　皿　㊤）　　がしゃーん
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　／│　　塊　　│＼　　　　　　　　　がしゃーん
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