闘技大会…メルンテーゼで行われるお祭りの様な物だと聞いた。
多くの一揆協力者が参加するバトルイベント。
何故、この時期にこんな事をするのだろう…と考えて、
まず頭に浮かんだのは、イベントに集まった一揆の協力者たちを一網打尽にするという、
王国軍側の罠の可能性。
…でも、その作戦を実行するには多くの戦力が必要になる。
王国が一揆参加者に囲まれた今の状態で、それ程の戦力を割く事は考え難い。
本当にただのお祭り…そうでなくても、王国軍による危険の可能性は低い。
参加する事で得られる物も多そうね。

参加者たちの戦い方、コミュニティ。エンブリオも多く集まるはず。
そして何より、この世界での人脈を得る事が出来るかもしれない。

アルファを説得して大会に参加する事になった。
大会には４人のチームでなければ、出る事が出来ない。
ミルとコロは一揆協力者登録をしていないから、正式なメンバーとしては認められず、
チームを組んでくれる参加者を２人、見つけなければならなくなった。
そして、丁度良く大会参加者２名を募集していたのが、今目の前に居るこの２人…

コロが地面を蹴りつけた瞬間、ミルの両手がコロのマフラーを掴み地面に引き倒す。
まだ暴れているけれど、まあ、心配はない…かしら…。

そして、アシェラッドの隣に居るのは…

卯の花腐しと名乗る、不思議な…人

アルファは、きちんと挨拶できるかしら…

声をかけられてやっと意識を現実に戻した。
どこか集中し過ぎてぼんやりしている目をユキナに向けた。

言いながらその場で立ち上がると、体がふらついた。
眠そうに瞼をこすり、そのへんで適当に体を丸めて寝ようとする。