男は訛った体を解かすように動かしている。

膝を落とし、両指を絡め、手のひらを外に押し出すように伸ばす。
いわゆるストレッチというやつだ。


「この世界のルールにも、だーいぶ馴染んできた感があるよね」
彼はストレッチを続けながら、誰に、とでも言うわけではなく呟く。
いわゆる独り言というやつだ。


彼の考えるルールは【この世界の強さはエンブリオの強さが全てを決める】ということである。
中にはエンブリオではなく、別の概念を使っているものもいたが、基本はおなじこと。
強者も、弱者も、このルールから外れることはできないと考えていた。

彼は1つ大きく息を吐いた。

ストレッチも終わり、体のあちこちに血液が酸素を運んでいるのを感じている。
「今日も悪く無い調子だ」と彼は呟いた。


寝ぼけていた頭もスッキリし、クリアを思考力を取り戻した頃に、
彼は伸びてきた鼻の下のちょび髭をつまみながら、この世界に思いを馳せた。

【世界の形が決まろうとしている】

と、彼は感じていた。


現在、この世界は上層・下層・中層の３つの層がある。
簡単に行ってしまえば、強者・弱者・その中間の層だ。

PKとPKKが暴れることで、それぞれの層でふるいが掛けられ始めた。
負けたものは下に落ち、勝ったものは上に登る。
時間が経てば経つほどこの差は大きくなっていくだろう。


この世界の面白いところは、あまりにも力の強さの差が有り過ぎると
デュエル自体が発生しないということだ。これには人数差も含まれる。

強者は強者とだけ争い、弱者は弱者とだけ争う。という図式が成立する。


つまり、気をつけるべきは敵は限られているということだ。
彼らに対する対抗策を持つことが、この世界のルールの最適解だと感じていた。

なんにせよ、今の位置からふるい落とされるわけにはいかない。

それが今の最適解なのは間違いないのだから。

彼はすっかり慣れた獣道を歩き始めた。

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フェアリーくんはわしの顔をマジマジと眺めた後、
「もっとも、その心配の必要なかったと思いますけど（笑）」という顔を浮かべた。
殴りたい。

/NO/

返す言葉もない

1つ咳払いをする。自分のことながらこんな質問をするなんてクレイジーだなとは思う……

そろそろソロのPKを狩る連中もあらわれるみたいだしな……
そう呟いてシエラは二刀を担ぎ去っていく