——ある日の日記。


・大廊下を離れた所で、ルカ、アリシアさん、シズさんと別れた。
彼らは、元居た世界に帰る術を見つけ、近いうちに帰るたのだという。
きっと、もう会えなくなる。そう思えば、とても寂しい。けれど、それでも、あるべき場所に帰れるのは、素直に喜ばしいことだとも思う。
いくつか持ちそうな料理を作って、渡しておいた。ちょっとしたお土産くらいにはなるだろうか。
あとは、どうか、無事に帰れますように。そう祈ろう。


・イェジの様子は、あれから、いつもと変わりない。
本当に、私の気のせいだったのかもしれない。
たまたま機嫌が悪かったんだろうと思うことにする。


・街に立ち寄った時に、コトカさんと韮の市を見てきた。ある地方の商人が企画した市らしい。
人の多さはかなりのものだったけれど、良い商品を見つけることが出来た。
スミレの砂糖漬けに髪結い紐に、携帯用のランプ、それにアミュレットが二つ。
アミュレットは、トーコさん達に渡そうと思う。
もう少し早く知っていたら、ルカ達にも何か渡せただろうかと思うと、少し残念だ。


・久しぶりに、トーコさんとウィルさんと合流することになった。
前に会ったのは、確かクリスマスの頃だったから、随分顔を合わせていないことになる。
その分、とても楽しみだ。

あの時、もらった二枚の写真は、今もちゃんとこの手帳に挟んである。
何度見ても、はっきりと映し出されている。
笑う、私を含めた四人の姿と、クラッカーを鳴らされて驚いた時の私とコトカさんの姿。
これがあるなら、人の顔を忘れることもきっとないんだろう。
いつか、カメラを貸してもらえないか、聞いてみようか。
文章だけでも、忘れないとは思うけれど、出来ることなら、鮮明に覚えておきたいと思うから。

書いていたら、前にトーコさんに頼まれて書いたプロフィールシートに、自画像を描いた事を思い出した。
今思い出すと、あまり出来のいいものではなかった気がする。
誰かに見せたりしていないといいなと思う。

それだけ。
結論だけ、勝手に出して、そうか、呟く。

息をついて、フレイルを構える。

　イヌワシは一つ、羽ばたいた。

息をついて、周りを見渡す。危険がないことを確認すると、武器を下ろした。

　ウルヘアは得意気だ。

緊張した面持ちで、一礼したあと。武器を構えて見据える。

　イヌワシは気合が入っている。