足りなかった。　足りなかったのだ。
警告色による威嚇では、一揆に紛れ込んだ襲撃者を思いとどまらせるには、足りなかった。
結果として私は全ての装備を奪われ、文字通り食われる側の弱者へと突き落とされてしまった。

どうするべきだったのか。
たまたま手元に持ち込んでいた、サーチライトを眺めながら己に問う。


　擬態の手段は、必ずしも一つではない。
私が選んだ警告色を身に纏うというものは一つの手段でしかない。
それも、襲撃者がその色に対して嫌悪感を持っているという条件付きでしか役に立たない者だった。
黄色と黒。私は毒を表すつもりでその色を身に着けたが、意味をなさなかった。
次に打つべき手段は。

　誰にでも威嚇として通用する手段を使おう。
誰しも、自分よりも大きな獲物に出会った時に必ず逡巡する。


そう　もっと大きく。

自分の背丈よりも大きく見えるように。

大きく見えるように！　強い光を身に纏う！！

足を異様に伸ばした『それ』が現れたッ!!

切り落とした竹をバリバリ噛み砕いている。

　何か問題ありますかね？　とばかりに今着ているスカートをぽふぽふと叩きまして

　どうやら相手が何か高いところに居る人だとようやく認識したらしく。
常識的に考えて、凄い高さに居る相手のほうを心配したようでした。