自然界においては、強いものが弱いものを狩り取り、捕食するという弱肉強食が基本的なルールとして存在している。
弱いものは強いものから逃げ惑い、隠れ怯えながら生きていくしかない。
しかし、そんな過酷な状況の中で、弱いものは強いものを欺くために用いるいくつかの"対抗手段"を身につけていった。

擬態。

あるものは自分と周囲の色を同化させ、外敵から自分の姿が見えないようにした。
あるものは自分をより大きな息のと錯覚させる模様を持ち、逆に外敵を怯えさせるようにした。
そしてあるものは、自分よりも危険な生き物と同じ色をすることで、自分が危険な生き物であると外敵に思い込ませることに成功した。

警告色。
それは、自分が毒などの危険な物質を持っていることを、あえて目立つ色を身に纏うことで周囲に知らせ、それによって自分の身を守るための色。

この一期の集団において、自分の長い竹馬はどうしても目立ってしまう。これを隠して周りから見えないようにするのは至難の技だろう。
であれば、自分が取るべき手段はその逆。より目立つ色で竹馬を塗装することで、外敵から身を守る。
ここで言う外的というのは、そう、他でもない──同じ一揆の集団の中に紛れ込んだ、狩人だ。

まさか、自分がそんな危険因子から狙われることになるとは思わなかった。
いや、思わなかった、と言えば認識が甘かったというしかないだろう。
この竹馬に乗っていて、真っ先に狙われないと思う方のは油断でしかなかった。

だからせめて、しばらくの間はもう同じような目に合わないように。

私はこの竹馬を黄色と黒で塗りつぶした。

と言いつつ、表情が急転する。