気が付けばぴおは建物の中に居ました。知らない男の人の先導で、どうやら地下から城内に入り込めたようですね。

　普段通り一番後ろに陣取るぴおでしたが、一人加わっている以外には特に変わった様子もなく進行しています。

何がなんだか良く分かりませんがそのままついていけばとりあえず問題は無さそう。

　さて、記憶を探りましょう。水辺に戻り、なんだか強くなったような気がするモンスター相手に撤退を余儀なくされた、

ところまでは覚えているでしょうか？　それ以降の記憶がどうも、曖昧どころかてんでありません。

　何か、とんでもない状況にでもなっていればことみーやすももちゃんに尋ねた事でしょう。ですがそのような事もなく
一揆は普通に継続されています。でしたらまずは目の前に居る倒さねばならない敵の事を考えるべきでしょう。
こみ上げる吐き気を堪えながら、ぴおは前に出ました。ここまできて体調不良などとは言っていられませんから。

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　どろり。綺麗な水から抜け出る感触は常に同じでした。空気を大きく吸い込んで、数度深呼吸。
水憂いの歌に惹かれて危うく溺死するところでした、危ない危ない。心と体を整えてから、背中を押す存在に気付きました。

　それが水を操り、ぴおの命を助けたのです。今の今まで悲しみ、辛さ、心の痛みを歌っていた水憂いが。

間近で見るそれは魚の下半身、エメラルドブルーの鱗。上半身は人間の女性のように見えました。ぴおにも、はっきりとは見えないその体……

　ぴおが言葉を発した拍子に、それはまた水底へと沈んでいきました。何はともあれ、翌日以降もそれは歌っていました。何も変わったことなど無いように。

およそ十日の間、ぴおは歌い続ける水憂いの元に通いました。引きずられすぎないように、距離を置くように潜り、呼吸をしにあがってはまた潜り……
すると、根負けしたようにそれは近づいてきました。不思議と、恐怖感はありませんでした。それは負の感情を歌っていても、決して恨み言を奏でていた訳ではなかったから。
手を伸ばせば、そっとこちらに触れてきます。こうすれば意思が通じる。そんな確信がふっと浮かんだのです。

　一呼吸、間が開いて。

　そうして、ウンディーネとぴおは長いお話を始めたのです。それが彼女と彼女の出会いでした。

セクシーポーズ？とやらが危うく目に入りそうになったのか、彼は目をそらして答えた。

それなりに野宿もこなして来た彼にとって、家出したことよりも
野宿による体調悪化の方が気になったようだ。

よし自分も、とやってみる。浮かんでこないのでエンブリオに引っ張り上げられるアピ。

そういいながらバタバタと手を振る犬耳の少女のほうが、
今にも転びそうなほどにはしゃいでいた。

自分にとっては当たり前で、考えもしなかったことに、少しこそばゆそうに尋ね返す。

気合を入れている様子を笑いながら見つめる。

お酒に使える水という話に耳をピンと立て、嬉しそうに食いつきます。

美味いお酒を妄想しつつ、期待に満ちた様子で更に続けます。

そういいながら一人でウンウン唸ってます。ちょうどいい言葉が思いつかないようです。

真剣に話を聞いていましたが……

取り上げられると聞いて暫く慌て、少しして落ち着いたのか提案します。

お酒が飲める所という話に興味津々のようです。唸っているのはお構いなしで問いかけます。

ぎこちない笑顔を浮かべつつ、彼はそういった。
挙動が所々ぎこちないのは、彼が年頃の女子への応対の術を身に着けていないからである。

彼は慌てて手をひっこめる。頭を下げながら、

と、早口でまくし立て始めた。
彼を許すのであれば、眼鏡を返してあげるといいだろう。