枯れた大地、というものは人が生きるには到底適さない土地だ。
喉を潤すための水も、
作物を得るための土も、
力を得るための肉もない。

　何もない。
人が生きていくために必要なものが、そこには何もない。

　何もない。
けれども、そこには略奪があった。
雨が降れば、土はいくらでも水を吸いつくし、
サボテンは土に渡すまいと己のなかに水を貯え、
飢えた動物はトゲにも構わず果肉を食いつくす。
誰も彼もが、乾いていた。
水を奪いあった。
本来恵みを与える立場にある大地が、他のだれも愛さず奪い続けるのだから、それは当然の結末だった。

　だからきっと、そこに住む人間もまた、何かを奪うことで生きてきたのだろう。
水を蓄えたサボテンから、
乾いて痩せ細った動物から、
そして、豊かに富んだ他の人間から。
自ら生産するのではなく、他者から奪い取ることで生きていく。
大地に愛されなかった彼らは、あさましい生き方で命をつないでいく。

　私が彼女と同行したのは、このたったの一日だけだ。
だから、彼女がどういう出自の人間なのかはわからない。
たまたま枯れた地方を思わせる、それっぽい衣類を着ているだけかもしれない。
けれども、そういう衣装を身にまとい、略奪のために人に刃を向けるのなら、それを彼女の意志として解釈しよう。
大地から恵みを得るのではなく、他者から何かを奪う人間であるという意志として。

　同情するよ。
　私もまた、大地には恵まれなかった人間だから。

思った以上に心外な反応を示したディンの様子を見てカラカラと笑う。

勿論、転びそうになったら風で体勢を整えるのでそんなことはないのだが。
そうして湯屋へと連れてきたナナシは多少悪びれながらも
「ね？湯屋もあたしも旦那も存在してだろう？」と笑顔で笑いかけた。
※湯屋コミュでのメッセに移行します

と言いつつチェーンソーを稼働させ、竹馬をまた10cmほど切り落とした。
人間の屑である。

悪いことをしたと思っているのだろう。
彼が責めないからなおさらだ。
詫びの言葉を繰り返していたが、彼の声に張りが戻れば安堵したように表情をほころばせる。

　突如現れた規格外の何か、そこから垂らされる糸電話から聞こえた声。
噛んじゃったのかな、と首を傾げつつ少女は返礼します。なんなんだろうと上を仰ぎ見て、
あまりの高さに角度が付きすぎたため尻餅をつきました。

　見た限り下半身どころかガード全般が薄そうですが、それをきっと補ってくれるはずです。
ひらひらと上空に向けて手を振って。嬉しそうな表情でしたが果たして見えるでしょうか？