リザ
	「『テリメイン３日目について』」

	リザ
	「異界は予想以上に奇想天外な所である。 魔女ラヴィニアから話は聞いていたが、ここまでとは正直思っていなかった」

	リザ
	「オークの教官だの、人魚の受付嬢だの。 最初からそんな者たちが当たり前のように出てきた」

	リザ
	「オークの教官とういうのは人畜無害な善人、といった男だった。 しかし受付嬢の方はなかなかしたたかそうである。 何を考えているか分からないところがあり、信用はできそうにない。」

	リザ
	「魔道図書室は鍵を使い、開放した途端に人が入り始めた。 数人程度出入りすればいいと思っていたのだが……。 管理人としての仕事を励む必要がありそうだ」

カリカリカリカリ……〆

	リザ
	「さて、本題である。 こちらでは未だに『素材』を確保できていない」

	リザ
	「海底探索協会の施設内で出会った二名の探索者と同行している うち一名は二匹の従者を連れていた人型の生物であるが、何れも我らの世界で言う『神話生物』であるようだ」

	リザ
	「『ビヤーキー』はともかく、『フライング・ポリプ』など、初めて目にした。 それを従え、『姫』と呼ばれる彼女の正体には非常に興味がある」

	リザ
	「素材としても器量としても全く問題ないが、従者たちがああも固めていては手出しは難しいだろう。 今しばらく様子を見る必要がある」

	リザ
	「もう一人はピラニアを連れた女子中学生だ。 日本人らしい。小柄ではきはき物を喋る子だ」

	リザ
	「魔法少女、というものらしいが、彼女の装備品からは高い魔力を感じる。 しかし肝心の彼女自身は普通の女の子に過ぎず、装備を除けば一般人だ。 素材にはなり得ない」

カリカリカリカリカリカリ……〆

	リザ
	「妙な敵対生物が多いが、今のところ興味を引かれたものはいない。 もう少し深い所を探索すれば、捕獲するべきものも見つかるかもしれない」

	リザ
	「早いうちに、他の探索者との繋がりを増やしておく必要があるだろう。 ぱっと見まわしたところ、人外の知的生命体が数多く協会に出入りしているようだ」

	リザ
	「早期に彼らに近付き、信を得なければならない。 まずはそれからである……」

カリカリカリカリカリ……〆

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

リザは、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。