「ルカってほんと不思議だね」 トウの部屋に来て数日。 ぼくはトウにいろんな話をきかれて、いろんな話をしてもらった。

「ふしぎ」

「うん、不思議。全然お腹空かないみたいだし」

トウが暮らしているのは白くて大きい建物で、海の近くにあった。 『低い階だから抜け出しやすいんだ』とトウは言った。 ぼくはその部屋に入れてもらって、他の『大人』にばれないようにこっそり過ごしている。 トウは海が見えるからこの部屋は好きだと言うけれど、部屋の中にずっといるのは嫌いらしかった。 頻繁に抜け出しては、よく海に行く。トウは海が好きで、とても詳しかった。

「お腹空かないと、不思議？」

ぼくはトウにもらったパンを、もう一口齧りながら聞いた。 ふわふわしている。これは嫌いじゃないなと思ったけど、お腹が空くというのは教えてもらってもよくわからない。 「うん。すごい不思議。センセーに言ったら……解剖されちゃうかも！」 「かいぼー」 かいぼーってなんだろう、と考えているぼくを見てトウはため息をつく。 「……君って脅し甲斐がないなあ」 「おどしがい」 「まーいいや！」 トウは腰かけていたベッドから立ち上がり、出しっぱなしになっていた図鑑を拾った。 「今日は陸の生き物の話でもしようか！」 　　　＊＊＊ ノクティルカはバカンスを終え、海を楽しんだ後で、大事なことに気づきました。

「……さがしもの、するの、忘れた！」

魚がきれいでした。 初めて見た魚もいました。 珊瑚礁も初めて見ました。 イワシが喋っていました。 海はきれいでした。 きれいだったので、すっかり頭から抜けて、のんびりと見た魚の折り紙を折っていました。 （たぶん……星は、なかったかも。たぶん、ない） 見落としてたらどうしよう。 そう思いながら、次の遺跡探索は何も見落とさないようにしようと決意し……一先ず、今できることを考えます。

（……ぼくも、戦えるようにがんばってみよう、かな。 もっとつよく……箱で叩くとか？）

ノクティルカは、背中の箱を前で抱えるか、後ろに背負うか、横に持つか、どれが一番叩きやすいかをしばらく考え続けていました。

ルカはアイテムNo.4 シェルボックス（低） を使用した。

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

ルカは、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。