果たしてここは一体どこだろうか。少なくともこの海が間違いなく私とは限りなく程遠い賑やかな場所だということはわかる。 気付けば私は赤い陽気な花が沢山描かれた明るいシャツを着せられていた。 それだけではない。腰には浮き輪を、足はビーチサンダル、手には柑橘系のトロピカルなジュース。 そして極めつけは頭にサングラスをつけていた。 ———筆を置き、そして陽気なシャツを床に投げ捨てる。

「…………なんなんだろうこれは」

「……………。はあ…　これは明らかに私の采配ミス…　道を間違えた…… そもそも私はこんな空気の入ったゴムがなくても泳げるし水の中で息も出来る…　何もかも無駄だらけだ……」

「すくなくともバカンスよりは遺跡を巡ったほうが明らかにマシだ…　出来ることなら帰りたいが… はあ…　我が氷の城こそが私の真のユートピア……」

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

ウェルテクスは、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。