——時は少し遡り、ここはシェリーとシフォンがいる部屋の中。

シェリーが見守る中、シフォンはブリギットの力の印章とシェリーを交互に調べている。
シフォンは本当に色々な事ができる、シェリーがそう褒めるとシフォンはいつもの口調で

「そのうちあなたにもできるようになるわよ〜」

と言う。
気休めともいえる言葉であるが、彼女が言うと本当にそうなのかなという期待感を感じさせる。
暫く調べた後、シフォンはシェリーの方に向き直り話を始める。

あれだけやって駄目だったんだし、と力なく呟く。
その言葉を聞いてか、軽くため息をつきながらシフォンは話を続ける。

シフォンの言葉にシェリーは呟きながら考えを巡らす。
暫くそうした後、顔を上げた彼女の顔には陰りは無かった。

シェリーはそう言って印章を手に取り集中する。
これまでとは違う形で力に問いかける。


——泉の様な深い青。

——湧き出る様子を表すのもいいし、静かな泉を表すのもいいわね。

——あなたはどんな姿がいいかしら……？


それはまるで宝石を手にした仕立て屋の——彼女の本来の営みを表していた。


時間と共に印章は輝きを増し、その光はシェリーを包み込む。
そして光はシェリーに収束し、彼女の新たな衣装を形取る。

目を開いたシェリーは少し照れながらシフォンに問う。


「シフォン、これ似合うかしら？」


シフォンは満面の笑みで答える。


「ええ、すごく似合ってるわよ〜」




・〜・〜・〜・〜・〜




僕達が開かれたドアの方を見ると、そこにはシェリーとシフォンの姿があった。

彼女は無事ブリギットの力をものにしたようだ。
しかし力の流れを見る限り、これまで見たのふわもこ達の変態とは違い、付与の類なんだろうか。

シェリーが夜な夜なブリギットの印章と格闘していたのを実は僕は知っていた。
結果的にはシフォンが彼女を助け、丸く収まったけど僕にも何かできる事はあったのかなぁ。


そんな事を考えながら僕はふわもこ達の談笑を眺めていた。