あら、新しく契約したエンブリオなのに、ミツさまと旧知のように話すのが不思議ですの？
外界の者ならそう思っても当然ですわね。
よろしいですわよ、このオビが教えてさしあげますわ。
別に外の者に話しても支障はないでしょうしね。

あの方は、倒したエンブリオの身体を依代にして故郷から私たちを呼び寄せ、身と魂とを結付ておりますの。
口寄せ、とでも言うのかしら。
私たちは不安定な存在ですから、そのまま呼んでもここに留まれないとわかっていたのでしょうね。
勿論依代に了承してもらってますわよ？そこまで非道いお方ではありませんわ。
それに完全にいなくなるわけではありませんもの。多少は記憶もありますしね。

依代にするには元のと近い種でなければいけませんの。私だとアルラウネですわね。
ケサなどは不思議でしょう？でもケットシーに近いのは彼だったの。
そのままの姿で契約しない理由は…御免なさい、私はわかりかねますわ。

そうでないのはアマギくらいですわね。
あのこは元いた山で契約しておりますから。そのままの身体でここに来てますの。
少々、羨ましいですわね。若輩者のくせに…いえ、むしろ若輩だから選ばれたのかしら？
ミツさまが何をお考えになっているかは、私めにはよくわかりませんわ。

そうね、あとはジュバンもかしら？アマギのように故郷から、というわけではないですが。
アレは確か土塊を依代にしているのではないかしら？
それかここの魚を使っているのかしら。別にどうでもいいですけれど。

ものとものを結付る術は白ガ鬼の十八番ですもの。
あの方たちは糸に縁ある一族ですから。術具も糸ですしね。
ミツさまのように、あんな棒に結付けて使う方は他におりませぬけど。
…少々、変わっていらっしゃる方だとは思いますわ。


そろそろよろしくて？
また暇があればお付き合いいたしますわよ。本当に暇があれば、ですけれど。
私とてミツさまのすべてを理解しているわけではありませんわ。
知りたいことは御本人に聞くべきだとは思いますが…あぁ見えて、案外自分のことを語りはしませぬから。
最後は蛇足でしたかしら。では、失礼させていただきますわ。

うまくできていないのだろう、笑ってごまかすしかないようだ。

男は肩を竦めて見せ

その穏やかさがとても好きな様子。
みっちゃんを背に乗せると、ゆっくり、、、とふとふ足音を立てて歩き出した。
二人でお散歩気分。