廃図書館に先に戻った花蓮の手には花屋で買った草花があった。
花は花束状にまとめられていた。
戸棚からマッチを取り出した花蓮は一度廃図書館から出る。
図書館の裏手に人一人くらいしか通れないような暗い小道があった。
石畳と意思壁の其の先には人の気配はせず、壁には所々苔が生えている。
聞こえるのは奥から小さな風の音だけである。
そこはまるで世界から隔離されて眠っているかのようだ。
花蓮はそこを花束を抱えたまま入っていく。
やがて、路地の先には小さな広場に繋がっている。
隔離された世界の先には時の止まってしまった場所があった。
わずかな光の差した広場には石畳の所々剥がれた場所があり、
その中の一層大きな割れ目の土の部分に十字の形の墓標が刺さっていた。。
苔むしていて、墓碑銘は知れない。
花蓮はその目前にしゃがみ込むと、花束をそっと置いた。
そして、ポケットから出したものを口にくわえる。
そしてその先にマッチで点火した。

花蓮は盛大に咳き込むと、それを墓標のすぐ下に、引火しないように置いた。
そして胸の前で両手を握り、祈るような姿勢をとる。
空の状況が変ったのか、広場に光が差して、花蓮を照らし出す。
其の姿は敬虔なる殉教者を思わせた。
数秒ほどだろうか。
程なくしてその双眸を開いた花蓮はやがて立ち上がり、
地面で燃えている煙草を見る。

花蓮は自分の掌を見つめる。

感傷めいた瞳で墓標を見つめる花蓮の口元は微笑を浮かべていた。
１分ほどだろうか。しばし墓標を見つめていた花蓮はやがて来た道のほうを見た。

路地から戻る花蓮の様子は来たときと変らずに、その広場も変らずに時を止めているかのようだった。

掛けられた言葉を思いめぐらせるように少し目を閉じた後、
顔を上げ改めて口を開く。

そう言って笑顔のまま礼をする。

相手を煙に巻こうとする発言が多い。
眼前の相手に興味を示してこそいるが、対等の情報交換のテーブルに立つことを放棄しているようにも見えた。

動じる事なく引っ込む盃を見送ります。お酒、飲めるみたいですね。

どんまい、とでも言うように気軽に肩をたたきます。
察しが良いやら悪いやら。

つらー、でからだを折り曲げてぐったりのポーズ。せつじつ！

一揆に年齢制限はありません。けれど、印象より随分年嵩の娘でした。

ダメ人間でした。

龍は両腕を脱力させ、下ろした状態で低く構えた。



彼の右頬がわずかに釣りあがる。

ふいに殺気をまとっていく——

彼の両腕がまるで別の生き物のようにうねりを上げた。

そのさまはまるで四肢の無い爬虫類のようだった。

龍は両腕を脱力させ、下ろした状態で低く構えた。



彼の右頬がわずかに釣りあがる。

ふいに殺気をまとっていく——

彼の両腕がまるで別の生き物のようにうねりを上げた。

そのさまはまるで四肢の無い爬虫類のようだった。

と書かれたボードを手にもったままかたまっています。