◇St.valentine

『とある妖精の手記』

私はチョコレイト・ケーキの妖精。当然名前はあるけれど、皆からは種族名で呼ばれることがほとんど。

のぼせあがった頭の中で、テオブロミンがぐるぐると回る。
とろとろに蕩け切ったチョコレイトのように、思考は一向に纏まらない。
このところ、連日のように城内へと冒険者たちが押し寄せてくるため、
ろくに身体を休める暇もないのだ。
にっちもさっちもいかない戦況というのは、
まさにこのことだと思う。

だからこそ、皆の回復役である私たちが、しっかりしなければならないのだけれども。
来賓と呼ぶには、彼らは手摺や煉瓦を外していったり、その狼藉ぶりは目に余るものがあるけれども。
なきごとなんか言っていても、何も始まらない。
いま出来ることをするしかない、私たちに出来ることといえば、それだけしかないのだから。

ミオさんの冷たい手をとって、首を傾げます。
人ではないことは分かっているから、手の冷たさには驚きません。

安心させようと、冷たい手のひらを両手でぎゅっと握ってそう言いました。

そう口にしたものの、確証はないので難しい顔になって。

場所、分かりますか？と聞いてみます。


◆

強引に、それを読もうとしているように、書かれている文字を発音しようとして。
ビクンと一度、弾かれるように頭を揺らすと、目を抑えて屈み込みます。

アムルの祖母である、邪悪な蜘蛛の神が蓄えた知識の中には、同じ紋様もあったのかもしれません。
ですがどちらにしろ、アムルが読めないのでは、結果は同じでした。

もちろん当初の目的は忘れていないアムルでした。

◆

突然の質問にちょっと面食らいますが、聞かれたことはちゃんと答えます。

父のことを説明するとき、アムルは嬉しそうにしています。
だいじなものを自慢するように、誇らしげな表情を浮かべるのです。

謎の対抗心。
ついでに、リンゴも吉備団子もダメだったのがちょっと悔しかった模様。

普通の妖精だったら、多分潰れてます。

悪く言うと変態くさい。

ミオのもとに戻るうさぎおばけを見て、ちょっとびっくりします。

なにやら勝手に勘違いをしているようだ

セイロンがガルダの機器を操作すると、目の前にグォン、と黒い穴が現れる。

ぷーちゃんはミオちゃんのお腹を黙々と揉んでいたが、お腹の文様を見るや、はっと我に返った。

そして数日後の、夜。

一体、何の話をしているのやら…。

※実際の酔拳はお酒を飲みません。

炎の力を操ってある程度自分の大きさを変えれるらしい。
大きいほどすごいパワーがでるらしいぞ！
でもどれだけ大きくしようとしても今は最大40cmくらいが限界のようだ。