Vanetta's Diary - Page.25

地下牢の死霊術師ラズロに完勝、祝杯でもあげたい25日目。
……と言いたい所だけど、またしても不可解な疑問が増えた。単純には喜んでいられない。
私達三人は複雑な地下牢の地形を利用し、ラズロを包囲襲撃する戦術を立て、実行した。
タイミングがズレたのか、結果的に私は一人でラズロと相対しこれを撃破。

しかしその後フェイとギラに話を聞いたところ、
二人ともが それぞれ単独でラズロと戦闘していた と言うのだ。

他の一揆参加者の前にそれぞれ現れたという話から想像はもしかしたら可能だったのかもしれないけど、
私はてっきり、順次訪れる一揆参加者の前に現れてはその度に撃退される、という流れなのだとばかり思っていた。
でも、私達が実際に訪れてそれは明らかな間違いだと分かった。
三人がそれぞれラズロに到達したのは、どれだけズレていたとしても数十分間隔。
まさかその程度のインターバルで戦力を回復できるとは思えない。

あの瞬間ラズロ（とその配下）は分身でもして複数同時に存在していた、と考えてしまった。
……それはそれで、確実におかしいのだけど。

最初から複数存在していた可能性はある。まだ現実的。
でもそれは、ラズロの目的が『一揆参加者の侵攻阻止』で無いならという前提条件が必要。
侵攻阻止目的であれば、複数存在するその全てを投入しない理由が無いし。
別の目的……様子見か、或いは登場して負ける事が……うーん。どれもしっくり来ない。

得体の知れない何かがまた増えた、のだけは事実。
ほんと、どうなってるのこのメルンテーゼ……いえ、この王城と魔王パラダイスの軍勢は。


この疑問に答えを見つけるには、やっぱり自分である程度の何かを確認するしかない。
伝聞や噂話だけでは限度がある。それは今回の一件で痛感した。
観光やエンブリオ目当てにふらふらしてる時期は終わったのかもしれない。

幸いにも直近で懐具合には大きな余裕ができる。
日々増大する敵性の存在に対抗する為の装備や物資も十分整えられそう。
あとは上手く使って、しっかりと強化をしていきましょう。
メルンテーゼの、この一揆の真実を暴くという『楽しみ』の為に。

何だかんだで許したようだ。