ガラクタ(姉)が売った喧嘩は双方被害なしということでどうにか収まりそうだ。
しかし、二度も喧嘩を仕掛けた人物となれば他の人間に警戒されるだろう。
また動き辛くなりそうだ。
後で躾をしなくてはならないだろう。

キョンシーから話を聞くために戻るよう連絡をつけた。
あの馬鹿共はどのような話をしていたのか、聞くことにしよう。

……何かを感じる。
何かが産まれそうな胎動のような感覚。
自分の中にではなく、世界のどこかに。

チハヤはそう言ってため息をつく。
手段を探してはいるようだが、今のところ全て徒労に終わっているのだろう。

解せぬ、という顔でうめく青年である。
一通りの意見を聞いた後、彼はやれやれとため息を吐いてこう答えた。

もっとも、これ以上を語る必要はない。
敢えて教えるようなことでもない。
故に、青年はそれ以上を語ることはなかった。

そう、ポツリと。

青年の物言いにも動じず、相変わらずの脳天気さを見せる。
確かにこれが、あの白痴魔王の正体を持つと見る者はそうはいまい。