ブランチマンと戦う、その少し前。

そう、境界について。
私はクレセントからメルンテーゼに来ているが、最初はさんざんなもので。

クレセントの海を進み、境界結界に当たったあの時。
あの駄女神とも出会ったんだっけ。

それから持っていた宝石が鍵だったみたいで、私だけ境界を越えられて。
……超えた先は、メルンテーゼの海の中。
もうちょっとマシなとこにつなげ！と思ったもんです。
だからこその結界があったのかもしれませんけどね？

いろいろ仮説を立ててみようか。

1つ目、この宝石がとんでもない魔力を秘めている。
……これはない。そんな魔力があるなら、ジェムクリエイションで何かしら引っかかる。

2つ目。この宝石はなにかの目印である。
月の魔力がこもると言われているムーンストーンに、クレセントの月女神（駄女神と言いたいが）リューナを組み合わせるのは無理ではない。
同じ魔力だと言うなら、目印にするのは可能だろう。

3つ目。ただのリューナの好み。
……一番ありそうなのは、なぜだろうか。

ともかく、クレセントではムーンストーンは非常に希少だった。
何らかのキーであることには、違い無さそうだけれど。

　これが、ポポロとエステルの出会いであり、
　エステルがタンポポ荘と出会った、最初の日でもあった。

エステルを見送る店主。…店の扉が開き、そしてまた閉じた。

喫茶リチェッタ。タンポポ荘に併設されたこの店は、じきに浮上する。
外部の客とは基本的に一期一会だ。

エステル・オーロラオーラ。彼女がタンポポ荘住人となるのは、この少し後の話である。

大事そうに受け取って、光に透かしてみたり指で撫でてみたり。

廃材とガラスを継ぎ合わせた無骨なトラバサミをどこからともなく取り出す。
体格に比べて大きすぎるギザギザのそれは見るからに痛そうだ。
生産鍛錬は消費PS大変ですよね。