——一体、何が起こったのか。私がそれを理解出来るようになるまで、少しばかり時間がかかった。

地面の上で蹲っている巨体——オーク達。そして、その横で私の方へと向かってくる、見慣れた人影。


「……エレネ」
その見慣れた人影は、私のことを呼びながら、近付いて。

「……エレネスティナッ！！」
そのあまりに大きな声に、私の身体は意に反して、びくっと身体が震えてしまった。森全体が振動したかのような、そんな感覚だったのを今でも覚えてる。
絶対に、怒られる。そう思ってた。
だから、先に謝罪の言葉が出た。悪いことをしてしまったんだって、この時自分でも分かってたから。


「おかーさん……ごめん……なさい」
泣きそうだった。もしかしたら、もう泣いてたかもしれない。

てっきり、ビンタでも飛んでくるかと思ってた。だから、お母さんが目と鼻の先の距離まで近付いて来た時、私はびくっと身体を震わせて、目を瞑ってた。けど、ビンタは飛んで来なくて。代わりに、身体全体に温かい感触が触れるのを感じた。
「……あまり心配させないで。貴女は、私の大事な一人娘なんだから……」
私を優しく抱いてくれるその声。泣きそうなのは私の筈なのに、なんでお母さんまで泣きそうになってるんだろう。そんなことを思いながら、私はお母さんの腕の中に抱かれて、家へ帰った。



その日の夕飯は無かった気がする。
家に帰ってから、みっちり怒られもした。



今では懐かしい、昔の話。
今度は、私がお母さんを探してあげる番だ。

拳を突き出し、仮想の目標に当たった際、肘がロックされ正しく衝撃が伝わる様に体が動いていく。

さっそく袋を開けると、彼女は熊の手の意匠が施されたチョコを視認する。

…２センチくらい？伸びた感じのする金狐の身長。成長期を考えれば、まだまだ伸びそうだ。

どどーんっっ！！

根本の知識がスッポ抜けていた！