ある日、森の中、熊さんに出会った……か。
マシリー、熊と出会ったらどうする？解体して熊肉のスープでも作るかい？

兄弟と旦那も食うかい？

悪い。確かに、自己管理だな……。
病気の類ではないから心配はしないでくれ。
なんというか……エンブリオとの折り合いで少し、な。

その辺りの差異はわからないけれど
人間というものはそこまで大きく違うものでもないみたい。
別の世界に住んでいるわりには、ね。
ばらばらの世界にそれぞれ人間という種族が共通しているのも不思議なものだけれど。

……そうね。
こじれていく一方で、あまり解決に向かっている気はしない。
王の乱心というものはかなり影響の大きい歪みだから。

ふむ。【サーティエイト】………38番目、か？
いや、知らないな。番号でしかないと何の事だかも推測しづらい。
あえて見当をつけるのならば組織か、計画名か、人名辺りだろうか。
単なる番号であって、名前を与えられていない辺りは正式になる
前段階のようには思える。
その声の主の名前……というわけでもなさそうか。
何れにせよ、お前に関わりのある数字なのかもしれんな。
すまないな、あまりアテになる回答も出来なくて。
どうも私の管轄外のような雰囲気はあるかな。
文字通り、メルンテーゼの外の。

それじゃあきっと、ラージンやリンテントポーゼのような場所なんだね。
君、わかる？　北にある領地なのだけれど。
でも、エンブリオがいないのなら、寒さを凌ぐのは大変だっただろう？

ふうん、そんなに。軍人だものね。
それで、ここへ来てからはどうなの？

そう、そうだけれど、だからまずは聞いてみたんじゃないか。どうなるのかなって。
突然壊したりしたら、君だって嫌だろうと思ったから。
僕、なにかおかしなことを言っている？

ううん……君が嫌なのはもうわかった。そのエンブリオにはなにもしないよ。

金目当てで寄ってくるだけの相手は欲しくないですしね。
そういう相手とは取引だけできりゃいいんですよ。

まー確かにそうかもしれないですね。
言葉だけは理想を語る奴、沢山いましたし。

……私自身のことじゃないと、よく分かるもんですね。

そうだねえ、背後によく知らない誰かが居るってのはいろいろ怖いよ。
僕も昨日今日と道案内することになってさ、他人事じゃないんだよねえ。

不思議な響きか。よく言われるよ。
そっちはそっちで体躯に似合った厳つい感じだねえ。名は体を表すってヤツかな？

おやまあ、そりゃ大変だったね。
若い子ならあっさり順応しちゃうんだろうけど……ま、これまでやってこれたなら今後もやっていけるさ。
動乱の真っ最中に言うことかって気もする台詞だけどね。

……ん？　どういうことだって聞かれても困っちゃうな。その辺は人によるんじゃない？
いやま、強制されたワケじゃないのは確かだけど、いまこの時期に此処に居るのは偶然が重なった結果だよ。
紛れ込ませてもらってはいるけどね。

同胞……ねぇ？

まぁ、一揆に参加してる以上は一蓮托生みたいなもと考えてんのか
敵の敵は利用はできるが仲間じゃねぇだろうに

まぁ、どっちにせよ賞金首はろくなもんじゃねぇけどな……

そっかよ、残念ながら交渉は決裂ってことだな

ただ、リドレーのオッサン。一つ忠告しておいてやるぜ
よその世界からしゃしゃり出て来て人の世界にちょっかいを出すやつが
大っ嫌いな輩もいるからな？気をつけるんだぜ？

オレは面白い奴（部下）が増える分には大歓迎なんだがな

そうですね、異邦人を手放しで歓迎は出来ませんよ。

貴方のように戦争が得意な者達が大挙して来たら、羨むばかりの肥沃な土壌を持つこの地はどうなりますかね？

ふふふ、ごめんなさいね。おじ様。クリスちゃんも私もまだ19歳だから、ちょっと大人になりきれてないお年頃なの。

諸悪の根源は大局を持たぬ纏め役、か…。
肝に銘じておくよ。しかし、味方の裏切りとは恐ろしいことだな？

リドレー、そういえば君の世界の言語というのは、
メルンテーゼとは異なるのかい？

なに、君は寒村で農業指導をしていただろう？
私はその腕に期待を寄せていたのだが、聞けば異世界では軍人だった。
戦闘に関しても専門家、集団戦闘の指揮すら執ったことのない私と比べれば
無能ということではないだろう。だから、聞きたかった。

だが…そうだ、私も血塗れた上にもたらされる豊穣は望んでいない。

…もっと無骨かと思っていたが、リドレー、君は穏やかな気質なのだな？

…女性的？
……私の考え方はそう見えるのか…考えたこともなかったな。

ぞろぞろとうっとおしいことだ。

人食い熊、か。
強き獣の肉を食らう事で、獣の力を身に宿すという人も居るらしいね。
……煮込む準備でもしようか？

熊狩り、か…　昔、親父達に付き添ってよく行ったモンだな…

……あの時から、何倍も成長した姿。見せれなくて残念だぜ

腹減ったどー。

ぶんなぐりたいお年頃です。

どうも落ち着かん。さっさと抜けよう。

げほっ。……茸はもう見たくない。

大分削ってやったんだ。コイツの毛皮は私がもらう

おうおうおう、結構いいスジしてんじゃん。

俺はアヴィドってんだ。強ぇ奴は嫌いじゃねぇぜぇー？
ちらほら見かけるが、あんたらみんな一揆の連中だろぉ？
いやぁ大いに結構、存分に暴れてくれると助かるわぁホント！頼りにしてっからよぉ！！

あぁそうそう、ドロワっつー黒髪のお坊ちゃんを見つけたら教えてくんねぇ？？
リーゼロッテとかいう真っ白い美人さん連れてどっかにいると思うんだわ。

アホ親父の言いつけでなぁー、ちょっち・・・・・・・・シメねぇといかんのよォ。

あー、城ならあっちだぜ。大廊下に続いてるからよぉー、坊ちゃん捜索頼むわぁ。

・・・っと、そんじゃなー。死なねぇ程度に頑張れよー。

拾っておこう。何かの役に立つかもしれん。

何だろう、これは。良い物だったら持って帰らないとね。

演習も必要だろうからな。

未知の力は恐ろしく、また楽しみなものだ。
これはどんな力を秘めているのだろう。

そっちから紅一点がいなくなっちまったなァ。
おお、むさ苦しいむさ苦しい

こっちは怪我人なんだ
ちょっとは手加減してくださいよ