-----------------------------------------------------
○月△日　　城内　某時刻
-----------------------------------------------------



　攻城戦、城の中を探索していた時のこと。

　どうにも不気味な雰囲気が立ちこめる城内、クーリアは息をひそめて、物陰に隠れながら周囲を探索している。
　すると、シ・ドゥが不意に立ち止まり、隠れるように合図を出す。

　アレを・・・と、シ・ドゥが指し示す先を見やるとそこには

　女性が立っていた。

　それも、ただの女性ではない。
　クーリアとそっくりな角と翼をもった女性だった。
　

　できることなら話を聞きたい。
　もしかしたら、自分のことが何かわかるかもしれない。

　
　しかし、ここは敵地、迂闊な行動をとるわけにもいかない。


　クーリアが悩んでいると

　首を傾げながら、それでもシ・ドゥがそう言うのであればと
　恐る恐る女性に近づき、声をかけてみる。

　女性はクーリアの姿を確認すると、ひどく驚いたようだった。
　目を丸くして、クーリアの姿をまじまじと見ている。
　そして、口を開くと…

　自分は相手のことを知らない。
　間違いなく初対面のハズだった。
　

　女性は少し、何かを考えるようにクーリアから視線を外す。

　・・・・・・・・・


　城外、周囲のひらけた草原地帯、ここならば危険が迫ればすぐに察知でき、タンポポ荘までもそう遠くない。

　頑張って記憶を辿ってみるも、全く思い当らなかった。

　そう言って、サフィニアはフッと溜息を吐き、遠い目をする。
　

　クーリアは、あまりに急な話に、頭が追いついてないようであったが、しばらく黙った後、思い出したかのように口を開くと

　「まだ」とはどういう意味だろう？
　時間が経てば、教えてくれるのだろうか？
　知っているなら、すぐに教えてくれればいいのに…
　

　その後、何回聞いてみても、種族のことは全然答えてくれなかった。

　抵抗し始めたクーリアちゃんを見て
　さすがにやりすぎた、と思い直し身を離す

　とぼとぼと湯船の隅っこへ向かい
　口まで浸かってぶくぶくし始めた

しばらく荷物袋の中を漁って取り出したのは。
元の世界でなんとなく買った、白黒のシュシュだった。
……なんで買ったのか、自分でも思い出せないが。

やっぱり自分でも何を言っているのかはよく分からない。

　お前、聞こえてたのかよ！！！

　

　なんだか少し嬉しそうである。

そんな事は無かったんだけどね、と苦笑しながら付け加える。
恐らくは魔物達の事なのだろう。

後悔の響きを含ませて、フィーグルは呟くように言った。

それがクーリアちゃんですから。

まぁ感じに悪がついていたら悪そうなのもイメージしやすいだろうしね。

そういいながら描いた絵を見せてみる。
目玉が複数ついていたり顔が複数あったりで
とってもグロテスクな姿をしている…。

多分イメージしていたものとはかけ離れたものであるが嘘は無い。

婉曲的な表現というものを知らないのか、
敢えてかなぐり捨てているのか。
突きつけるような言い方に、しかし、責める色はない。

クーリアの反応を見て、サニーはびっくりする。